13


5日が過ぎた。私はいつも通り、割り振られた定期メンテナンスや補修作業などをこなしていた。変わった事といえば、後ろをついてくるようになったこの大きなロボットの存在だろうか。

「日曜日に仕事…はあ」
「なまえはため息が多いな」
「もう癖ね、はーあ」

一緒に過ごすうちに、いつの間にか”さん”は消えて、私もそれに慣れて。遅めの昼食を、彼の膝に乗って食べるようにもなった。

「あなたが目覚めて1週間か…早いなあ」
「ああ、早かった」
「どう?なにかしたい事は見つかった?」
「いや…まだだ」
「そっか」

缶コーヒーを、一口すする。ぼんやりしながら次の休みはいつだっけ、なんて考えて。あ、そうだ。漏れた声に、カゲロウは首をかしげた。

「ね、私今度の金曜日休みなんだけど」
「うん?」
「どこか行きたいところ、ある?」

彼はあまり外に出ない。夜遅くなってから、目立たないように少しだけ外出している。1年近く過ぎたとはいえ、彼は脱走し、街で破壊活動をして逮捕状まで出されていたのだ。不用意に街中をうろついて、目ざといマスコミ連中に取り沙汰されても困りものだ。彼がブレイブポリス入りを渋る理由も、これが関係しているのかもしれない。後ろめたいんだろうな、なんて思って。

「行きたいところ…?」
「うん。総監に頼めば、許可はしてくれると思うし」

してくれなきゃ抜け出すまでよ、なんて茶化して言えば、驚いたように目を丸くしていたカゲロウは嬉しそうに笑った。

「うむ、そうだな…」
「まあ考えててよ。好きなところ連れてってあげ…あ、乗せてもらうのは私か」

カゲロウはとうとう声を上げて笑って、私もつられてあははと笑った。
この時間が好きだなあなんて、思った。





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