07


整備室からガンマックスを追い出し、諸々の片付けをさっと済ませた、きっかり10分後。再び震えだした携帯を耳に当てた。

『なまえさん』
「どこにいるの?カゲロウ」
『倉庫のようなんだが…第…8…?』
「あー、わかったわかった。今から行くから、動かないでね?」
『すまない…』

ご丁寧に送られてきたGPS情報に少しふきだして、携帯をポケットにねじ込んで走り出した。



「まさかここで迷子になるなんてね…」
「…改装されていて、わからなかったんだ」
「あー、大分工事しなおしたからね」

人気の無い、暗い第8倉庫の中でじっと座っていたカゲロウに駆け寄ると、彼はぱぁと顔を明るくさせた。なんで迷子になったの、と聞けば、すぐに表情が暗くなる。

「藤堂さんには勝手に出るなと言われていたから、怒られると思って言えなかった」
「私は怒らないとでも?」

腰に手を当てキッと見上げれば、うろたえたように目を泳がせる。なんだかかわいそうに思えてきて、できるだけ優しく声をかけた。

「どうしてあそこを出たの?まだ皆には秘密にしてるから、見つかったら困るのだけど」
「その…」
「うん?」
「…その、腹が、」
「…腹?」
「腹が、減って…」

しょんぼりとした顔でそう言ったカゲロウのエネルギーメーターを見れば、確かに赤メモリを僅かに残すのみとなっていて。昨夜の起動実験のとき、給油はせずに直接動力ケーブルを繋いでいたのを思い出して、ああ、と声をもらした。主任もきっと、あまりのことにすっかり忘れていたのだろう。

「藤堂さんが戻ってくるまで待とうと思っていたんだが…給油室も分からなくて」
「あー、多分主任、総監への報告やらで忙しいのかも」

丁度そのとき、携帯が鳴った。主任専用の着信音に取り出してみれば、『すまん!カゲロウにメシ食わせてやってくれ!俺が戻るまで世話を頼む!』苦笑しながら了解しました、と返事をして、そわそわとこちらを見ていた彼を見上げる。

「じゃ、ご飯食べにいこうか、カゲロウ」

私も朝ご飯食べそびれてたのよね、と言えば、彼は笑った。





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