Convoy


「ナマエ!あぶなぁい!」
「え?」

バンブルの叫び声に後ろを振り向けば、目の前に、茶色。ぱかんっという小気味良い音と共に私の顔面にぶつかり跳ねたそれは、ぽんぽんと地面に転がった。

「わーっ、ナマエ!」
「…バスケット、ボール…」
「だ、大丈夫?」

かなりのスピードでぶつかったが、今は機械の身体。大した衝撃はなかった。

「大丈夫、びっくりしたけど」
「良かったあ」
「人間だったら鼻血ものね」

転がったボールを手に取り、駆け寄ってきたバンブルに手渡す。外を見れば皆がこちらを気にしていた。

「遊ぶのもいいけど、気をつけてね」
「はぁーい!ほんとにほんとにごめんね?」

ぽんぽんとバンブルの頭を撫でてやれば、にっこり笑って皆の元へ走っていった。それを見送ってから振り返ると、ぬっと大きな影が目の前に現れて、思わず後ずさる。

「あ、し、司令官?」
「君は行かないのかね?」
「今日はもう少し仕事があるので…司令官は?」
「うむ…」

顎に手をやり何かを考えだした司令官に、首を傾げる。変な事を言っただろうか?

「あの、司令官?」
「む、すまない。そうだな、君が行かないのなら、私も行かないことにしよう」
「え?」
「はやく仕事を終わらせるんだ。そうしたら」
「あ、行きますか?」
「いや」

私の肩に手を乗せ顔を覗き込んでくる司令官に、すこし、どきりとする。司令官がこうしてくる時は、合図だ。

「二人で少し、出掛けよう」
「…わかりました」

私がバンブルにしたように、しかしそれよりもずっとずっと優しく、頭を撫でられる。はやく仕事を終わらせてしまおう。先ほどボールがぶつかった鼻が、すこし、赤くなるのを感じた。





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