Bots


緊急を知らせる電子音が基地内に響いた。モニタの前で顔を顰めるラチェットの元へ、オプティマスが歩み寄る。

「オプティマス、オートボットの救援信号をキャッチした」
「ふむ、どこからだ?」
「それが…ディセプティコンのものらしき戦艦からだ」
「…なんだって?」

ラチェットの指の先には、確かにディセプティコンの反応。そして、オートボットのSOS。

「助けなければ」
「罠だったらどうするのです?」
「罠だとしてもだ。仲間を助けられる可能性を、見逃すわけにはいかない」
「…分かりました。アーシー、留守を頼む」
「了解」

バルクヘッドとバンブルビーは今基地を空けている。頷くアーシーを見てから、オプティマスとラチェットはグランドブリッジへと向かっていった。





「反応はここからだが…」
「オプティマス、あれを」

荒れた海岸線に、巨大な−彼らにしては小型な、船が一隻。煙を上げているのを見ると、どうやら墜落したらしい。警戒しながら近づいていくと、ハッチがガコンと外れた。さっと身構える二人の前に、暗い船体の中から白い姿が現れる。よろよろと覚束無い足取りで降りてきたのは、細い線をしたトランスフォーマー。青い瞳がこちらを見て。

「よ、よかっ…」

ぐたりと崩れ落ちたと同時に、オプティマスとラチェットは駆け出した。
ラチェットが白い体を支え、オプティマスは船の中へ飛び込む。船の中は、メインパワーが落ちているのか明かりはなく、オイルの匂いが充満していた。ライトで中を照らすと、争ったのか、あちらこちらが破壊されていて。ガコンと足に何かが当たる。それを確認しようと足元を見ると、ラチェットの叫び声が響いた。

「オプティマス、急いで戻らなければ!このままでは彼女が危ない!」
「わかった。アーシー、グランドブリッジを開いてくれ」

足元の、光を失ったディセプティコンの頭部を見下ろしながら、オプティマスは静かに言った。





「彼女の様子はどうだ?」
「私の処置は完璧だ。ただ…」
「ただ?」

ラチェットは言い淀む。幾本ものケーブルに繋がれ横たわる彼女はかたく目を閉じている。

「…彼女の身体には、何度も手を加えられた形跡があった」
「つまり…ディセプティコンに改造されていた、と?」
「そうだ。大方、そうして改造して、オートボットを攻撃させるつもりだったのだろう」
「同士討ちをさせるつもりだったのか…悪趣味だな」
「ああ。…オプティマス、彼女に見覚えがあってね、調べてみたんだ。そうしたら、この通りだ」

パッとモニタに映し出されたのは、彼女のイメージと「研究員ナマエ:MISSING」の文字。

「惑星探査に出てそれきり消息を絶っていた。…おそらく襲撃を受けたのだそう。そして連れ去られた」
「…殺されなくて、良かった」
「ああ…本当にな。だが、元々戦闘に不向きな彼女に無理な改造が施されているし、パーソナルシステムにも、少なからず手を加えられた跡が見える。しばらくは様子をみなくては」

彼女の顔を、じっと見つめる。
きっと、この間のスペースブリッジの大爆発でここを発見したのだろう。そしてわずかな望みを賭けて、ここへきたのだ。ひとりで、戦って。傷を負いながら、我々にSOSを送ったのだ。

「…守らなくては」
「ああ…そうだな」





servo






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