SS/BW
赤いバイザーを楽しげに光らせながら、ハァイスタースクリーム、と軽い調子で話しかけてきたソイツに、歪む顔を隠さずに名を呼んだ。
「…ナマエ」
「そんな顔しなくてもいいじゃない。メガトロン様への報告が終わってからすーぐにあなたに会いにきてあげたっていうのに」
オートボットから寝返ってきたナマエは、元はエリートガードの上級仕官だったという。その能力は短距離ワープと、電撃。その攻撃力は申し分無い。メガトロンがコイツを気に入っているのも知っているから、気に食わない。
「ハ、失敗報告か?」
「馬鹿にしないでよね、スタースクリーム。私はディセプティコン最速の破壊兵よ?」
オートボットの小隊を残らずスクラップにしてきたわ、とケラケラ笑う様はどうみても根っからのディセプティコンで、コイツは本当にオートボットだったのかと疑いたくなる。
「…お前は」
「あ、ブリッツウィング!」
「おやナマエ、帰っていたのですか」
「うん、ただいま」
すっと部屋に入ってきたブリッツウィングに飛びつくナマエに、元々歪んでいた顔がもっと引きつるのが分かった。
「聞いてよブリッツウィング、スタースクリームが私のこといじめるのよ」
「いじめてねえだろが」
「おやおや、それはひどいですね。次からは私に先に会いにきて下さい」
「おいこら」
首にぶら下がるようにしがみつくナマエを、ブリッツウィングがよいしょ、といいながら抱き寄せる。ああそういやこいつもナマエのことを気に入っていたか。イライラした俺は二人を置いて部屋を出ようとした。
「スタースクリーム、どこへ行く?」
「お子様だから拗ねたのよ」
「ボクとナマエが仲良しだからァ?」
「そ!」
「アヒャヒャヒャ!」
「あーもううるせえ!」
まとめてぶっとばしてやろうと怒鳴りながら振り向き武器を向けた瞬間、何をしておるのだスタースクリームよ、と低い恐ろしい声が聞こえてきて、慌てて仕舞ったのをまた笑われて。いつか絶対ぶっとばしてやるこいつら。
情けなし未熟者よ