Starscream


(スペースブリッジが爆発したあと)



ガシャンと激しい音と共に私の腕が落ちた。我らが新しきリーダー様はご機嫌斜めのようである。口の中の不快なパーツを吐き出すと、今度は倒れた私の腹に鋭い踵が突き刺さった。

「…っぐ、え…」
「何故だ、ナマエ、何故皆俺に従わない!?」

ガツンガツンと何度も踏みつけられ、ヒビの入った装甲はボロボロと零れ落ちる。剥き出しになった内部装甲からバチバチと火花が散るのが見えた。

「ス、タースクリームさ、ま、皆、きっと、まだ、メガトロン、様の、ことを」
「あいつは死んだ!死んだのだ!何故死んだあいつにすがるんだ!」

顎を蹴り上げられた。視界が一瞬、飛んだ。そろそろ死んでしまいそうだからやめてくれないだろうか、そんなことを考えながら、ぶれる天井をぼんやりと見つめた。

「ナマエ、俺を呼べ、俺の名を呼べ」
「スター、ス、クリーム、さま」
「もっとだ、もっと呼べ」
「ス、ター…スクリー、む、さ…ッ、ま゙…ァ」

困った、もう声が出ない。ザアザアとノイズを発する私を、彼は冷たい目で見下ろしたあと、ぐにゃりと眉を下げて泣きそうな顔になった。泣きたいのは、こっちなんだが。

「俺を、俺を呼んでくれ、称えてくれ、俺を」

がっくりと膝をついて私に触れるその手はぶるぶると震えている。私もその手に触れようとして、おっと、腕が無かった。キイキイと肩を動かせば、リーダー様はハッと目を見開き、可哀相なナマエ、と言った。

「ああ、すまない、すまないナマエ、すぐに元通りにしてやるからな」

彼はそのしなやかな腕で私と落ちた腕とを抱え上げると、すぐさまリペアルームに向かう。メガトロン様がいなくなってしまってから、もう何度目だろう。もう飽きてきた。
通路で、サウンドウェーブがこちらを見て一瞬立ち止まった。すれ違いざま、個人回線で通信が入る。

『モウ少シダ、辛抱シテクレ』
『…危なくなったら助けてよね』

可哀相なリーダー様。もう少しだけあなたの激情の捌け口になってあげるから、うっかり殺したりしないでねと、願うばかりである。






perpetior






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