Soundwave


私はあの赤いバイザーの下を見たことは無い。きっと他の皆も、見たことはないのだろう。彼の情報処理を手伝いながらそんなことを考えていると、モニタを見つめていた彼が不意にこちらを向いたのを感じた。つられて視線を上げれば、ディスクを渡される。

「コレモ頼ム」
「了解」

手渡されたディスク内のデータを読み取り、再び作業に戻る。サウンドウェーブもまた、自身の作業に戻る。沈黙。
彼と二人でいる時はいつだってこうだ。必要最低限の話しかしない。彼は口数が多いほうではないし、私もあまりお喋りではない。スタースクリームといる時は、そうでもないが。(彼といると苛々する)
どれくらいそうしていたか。ようやく処理を終え小さく排気すると、コンコンと控えめな音がした。どこからだ、と考える暇もなく、サウンドウェーブが首を垂れた。

「…イジェクト」
「ああ、フレンジー…」

勢い良く飛び出したカセットロンは、嬉しそうにグルグルと回った後、部屋から飛び出していった。クス、と笑いが漏れた。あの子はかわいい。

「落チ着キガ無クテ困ル」
「かわいくていいじゃない」
「…ソウカ?」
「そうよ」

んん、と身体を反らせば、サウンドウェーブもモニタの電源を落とした。終わったの、と聞けば今日はここまででいい、という。

「助カッタ」
「どういたしまして」

バイザーの奥を覗くように笑えば、フッと光が揺れた。気がした。彼も笑ったのだろうか。表情は分からない。でも、そんな気がした。
しばらくそうして見つめ合っていると、サウンドウェーブが手を伸ばしてきた。頬にそっと触れるそれに驚きながらも、嫌ではなかったので、されるがままになる。親指が目元に触れた、時、ガンガンと外から響く騒音にびくりと身体がはねた。

「サウンドウェーブぅ!スカイワープの奴がぁ!」
「…今、行ク」

先程飛び出していったフレンジーの声に、サウンドウェーブが深く排気する。離れてしまった手を名残惜しく思いながら苦笑していると、今度は腕を掴まれた。

「行クゾ」
「はいはい」

バイザーの光がまた、揺れた。





nictatio secretus







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