ある晴れた午後/直江





たとえばそう、日向に丸まり眠る猫のような。
隣でうつらうつらとして瞬きを繰り返すナマエを見て、兼続は思わず撫でようとした手を止めた。

「ナマエ殿」
「…はい」

力のない返事をしてこちらを見上げる。
確かに今日は心地良い天気である。苦笑しながら大丈夫ですか、と声をかけた。

「大丈夫そうに見えますか」
「見えませんな」
「ですよね」

失礼します、と言って口に手を当て顔を逸らした。小さく欠伸をしたのだろう。向き直った目尻に涙が溜まっていた。
こちらもつられて欠伸をする。彼女が笑った。

「うつりましたね」
「うつりましたな」
「欠伸って親しい人ほどうつりやすいんですって」
「それはそれは」

笑い合って一緒に空を見上げる。雲一つ無い快晴。鳥が二羽、飛んで行った。

「兼続様」
「うん?」
「とても眠たいです」
「奇遇ですな、儂もです」

ははは、と笑う。この女子といるときは、いつも笑っている気がする。
そうしてまたぼうっと空を眺めていると、肩に重みを感じた。
すうすうと寝息を立てる彼女に、先を越されてしまったと小さく呟く。
自分も寝るのと寝顔を見るのとどちらが良いだろうかと考えて、髪を撫でて後者を選んだ。



ある晴れた午後
(さて、どうしようか)(まるで猫だな)
(いつの間にやら膝枕)









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