01


なにやら庭で話し声がする。気になってそちらへ行けば、慶次と助右衛門が談笑していた。いつの間に来たのだろうか。駆け寄れば、二人がこちらを向く。

「おお、名前殿」

笑って返せば、彼もまたにっこりと笑ってくれる。

「仕事が忙しくてなかなか来られなかったが…すっかり良くなったみたいだな」
「うむ。そろそろ外へ出ても良い頃だと」
「よし、それならこれだな」

慶次を遮って、ぴっと小指を立てる助右衛門に、大きく頷く。慶次はむ、と眉を寄せた。

「なんなんだそれは」
「ふふ、名前殿との約束だ。今日は借りていくぞ」
「だぁ?」

用意をしてきてくだされ。そう言われて、急いで中へ戻って身支度を整えた。
屋敷の外へ出るのは初めてだ。うきうきしながら再び外へ出ると、口をへの字にした慶次が仁王立ちしている。ああ、拗ねているのかな、あれは。

「おい、助右衛門」
「なんだ」
「…俺もい」
「断る」

おい、こら、とわめく慶次を無視して、私の手を取った。

「さ、行こう」





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