TOA×シリーズ


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ジェネシスさんの置き土産のバハムートを倒すことになった、俺とザックス。
バハムートを倒さない限りは、俺たち二人は元の場所に戻れないため、覚悟完了して挑むが、まあ……バハムートの戦法がえげつないこと。


ジャンプ、着地、攻撃、そしてジャンプの順で、天空の王者を意識した戦闘スタイルだが、着地した時の衝撃波が凄まじく、ザックスに陽動と前衛を頼み、俺は後衛に回った。
バハムートは味方だったら頼もしいのかもしれないが、敵に回るとストレスしか感じない召喚獣だ。

たまに遠くの足場に着地したと思ったら、物理攻撃は当たらないし。


「ザックス!着地の時の防御と魔法攻撃は俺に任せろ!!その間は軽く休んどけ!」

「冗談はやめろよな!まだまだ動けるっつーの!」

「わあったよ!なら、スタミナ切れになるまで、動き回っててくれ!」

「うへぇ……」


互いに四、五メートルくらいのを間隔をとりながら、それぞれの役目に没頭した。

バハムートが着地する時と構え、振り払う攻撃が来た時は、バリアーや味方ターゲットを中心にドーム型の障壁を展開、障壁内にいた味方を完全無敵状態にするフォースフィールドを放ち、俺は自分とザックスの受けるダメージを軽減させていた。
そして、バハムートに物理攻撃が当たらない時は、ザックスと一丸になって魔法攻撃で集中砲火した。

それを何度も繰り返し、バハムートに応戦していくと終わりが見えてきた。


「これでとどめだ!」


俺達は左右から挟み込むように、バハムートに目掛けて飛びかかり、垂直に落下して渾身の一太刀でバハムートを切り裂いた。
最後の一撃を受けたバハムートの体は朽ち、粒子になって拡散すると手のひらサイズのマテリアに集結し、ザックスの手に収まる。

たった二人で、バハムートを倒すことが実証できた瞬間だ。



「召喚獣をこんなことに使うなよ!ソルジャーの誇りはどうした!」


バノーラ村に戻ってくると、真っ先にザックスがジェネシスさんに噛みつき、吠えた。
俺はそれよりも、バハムートとの戦いが終わるまで待っていたジェネシスさんに訝しむ。

本当に、この人の考えてることがわからない。というより、ジェネシスさんの考えがインプットできても、入った瞬間に急流のようにアウトプットされてしまうのだ。
なによりも、この人に同調することを俺の心が拒んでいる。


「俺たちは−−モンスターだ。誇りも夢もなくしてしまった」


ジェネシスさんが左腕を天に掲げると、黒い片翼が生えてそのまま飛翔していく。

ジェネシスさんが消えていった空を見上げると、黒い羽が舞い散ってくる。
舞う黒い羽を掌に受け、ザックスはすごく悲しそうで、消え入りそうに声を落とす。


「ソルジャーは−−モンスターじゃない」


ザックスの背中を押しながら、俺達はバノーラ村を離れた。
村一帯が見える崖の所まで行き、ツォンと合流する。

俺とザックスはヘリに搭乗する際、空爆され、炎の津波に呑まれる村を眺めていた。


アンジールさんも、ジェネシスさんも。夢や誇りをなくしたんじゃない。
自分から、手放したんだ。


「アンジール−−」


どんな意味を込めたのか、俺にはわからないけれど、ザックスはアンジールさんの名前を呼んだ。
俺はそれが、ザックスの祈りのようにも聞こえた。




× × × ×




バノーラ村での任務からまた時が経ち、ウータイとの戦争は終結した。

俺とセフィロス師匠は、新たにクラス1stの仲間入りを果たしたザックスのお祝いと任務の依頼を兼ねて、司令室にザックスを呼び出した。
本来なら、部署を挙げてのお祝いをしたい所だが、大量のソルジャーの脱走、二人のクラス1stによる謀反があった為、心の底からザックスの昇格を祝いたくても、大っぴらには出来なかった。

功労者であるザックスも、意に満たないようだ。


「会社はジェネシスと配下たち、そして、アンジールの抹殺を決定した」


ザックスがクラス1st用の支給品を受け取り、戻ってくると、ラザード統括は俺達を呼び出した理由を打ち明けると同時に、会社からの声明を発した。


だろうな、とは思った。

ソルジャー……、直訳すればセフィロス師匠だけど、神羅の顔だ。
世界中の子供や若者達の憧れ。

その存在が世に仇し、飼い主に反旗を翻した。神羅からしてみれば、顔に泥を塗られたようなもの。
上層部が放っておくはずがない。


「それを俺が!?」

「いや、神羅軍が投入される」

「んじゃ、俺は?」

「信用されていない。フキも含めてね」


釘を刺すように、俺に一瞥を与えてくれる統括。
ハイハイ、どうせ俺はコネ入社のコネ昇格だっつーの!


「ソルジャーの仲間意識が行動を鈍らせる、とな」


ごもっともなセフィロス師匠のご意見だが、逆に見れば、軍がそれほど統率が取れていないって自白しているようなものだぞ。上層部。


「そりゃ鈍るさ」


半円型のデスクを叩きつけ、項垂れるザックス。
見かねたように、セフィロス師匠は鋭く木霊のように答える。


「だから俺も出る。無論、フキもだ」

「抹殺に?」


澄んだ空色の瞳が、俺と師匠を見据える。
ザックスのこの問いに師匠がどう答えるのか、俺は横目で顔を盗み見た。


心なしか、愚問だな、とザックスへ言いたげに師匠は口角に笑みを浮かべていた。
後のことは、師匠の顔を盗み見なくても、気持ちは察することができた。

これ以上の問答は、これからの行動で示さないと意味をなさない。
師匠と俺が腹を据えたところで、神羅ビル全体に警報音が鳴り響く。


「侵入者だ!」

「どこに!?」

「ここだ!セフィロスは社長室!ザックスはエントランスへ。フキは神羅社員の避難誘導!」


統括の指示を受け、俺達三人はそれぞれに割り当てられた現場へ直行する。



こんな状況下じゃ、エレベーターやエスカレーターはまともに機能していないだろう。
たらい回し状態で上の階と下の階を行き来するのは嫌だが、人命は優先しなきゃな……。
俺は非常階段を使い、各階に行って逃げ遅れてる人を回収することにした。








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