もし原作に出ていたら。 | ナノ
>> 7月7日

「都竹せんぱーい、潮江先輩が予算の使い道に言いがかりをつけてくるんですけどー?」
「うざいって言って殴っといて」
「潮江先輩に変装してたら殴られたんですけどー? たんこぶできましたぁ痛いでーす」
「よしわかった俺が殴る」
「待たんかバカタレ! 落ち着け、苦無を下ろせ!」
「待ってろ今さくっとやってやる」
「さくっ!? ぐさっとやるつもりだろうがてめ、うぎゃあっ!」
「おいおいおーい、かわすなよ、痛いぜ?」
「落ち着け!! お前誰だ!?」
「ふふー、今からさくっとやるから見ててなー?」
「都竹先輩、やめてください」
「えー、なんでさ、庄左エ門」
「部屋が血で汚れます、畳がもったいないので」
「はーい。よかったなぁ文次郎、うちの後輩が優しくって。で、予算がどうのって?」
「なんか納得いかん」
「用ないなら帰れ。俺は今可愛い後輩を愛でてんだ、むさ苦しい同輩見たら心が荒む」
「今夜鍛練付き合えよ、ギンギンに打ちのめしてやる」
「学級委員長委員会一同、腕立て伏せの重り役になら全力でなってやんよ。で?」
「学級委員長委員会の予算の使い道だ」
「んん?」
「何だ、この茶菓代は! こんなものに予算を割くなバカタレ!! そもそも何で与えた額以上に出費があるんだ!?」
「支出ばっかり見やがって、収入も見ろよな」
「なんで収入欄までついとるんだ!」
「百聞は一見にしかず」
「……なんでお前の名前が書き込まれてるんだ、何度も」
「茶菓代については俺の懐から出た金で支払われている。すなわち、お前に監督される謂れはない」
「紛らわしいわ! そんなもん一々書くんじゃねぇ!」
「委員会で使った金は全部書けって、お前が言ったんだ。それに、書いておいたら来年度以降の参考になる」
「何が来年度以降の参考になる、だ! だから貴様ら学級委員長委員会はふざけてるんだ!」
「いや、学級委員長委員会でふざけてるのは三郎だけだ」
「あれ、今さりげなく私売られた?」
「どっちにしても後輩の不始末は委員長であるお前の不始末だろうが!」
「学級委員長には自律的精神が求められる。そいつの不始末はそいつの不始末だ」
「じゃあその帳簿を書いてるのは誰だ!?」
「誰だっけ?」
「「都竹先輩です」」
「俺だってさ」
「なら他人事みてぇな面してんな!」
「えへー? だってさ、聴けよ。ぶっちゃけ暇なんだよ、俺たち」
「働け!」
「ちゃんと働いてますー、忙しいときは死ぬほど忙しいもの。暇なときは死ぬほど暇だけど」
「暇ならギンギンに鍛練に励め!」
「ぎんぎーん、はい復唱して」
「……ぎんぎーん」
「ぎんぎらぎんぎーん」
「鉢屋先輩、何か違います」
「俺は夜のぎんぎ――
「はい1年生の前だから三郎さん自重」
「んになる!」
「庄左エ門の教育に悪いからやめなさい」
「夜の(自主規制)に、俺はなる!!」
「三郎? そろそろ自重しないとお兄さん怒っちゃうよ?」
「ごめんなさーい」
「都竹先輩、話がそれてます」
「んー、何だっけ?」
「潮江先輩が夜のギンギンだという話です」
「え、文次郎お前変態。俺の後輩に近づくんじゃねぇぞ」
「違うわバカタレ! 全力で威嚇してくるんじゃねぇ!! その前だ! 鍛練の話だろうが!!」
「むやみやたらと頭ごなしに怒鳴り付けるなよ、うちの後輩が萎縮しちゃうだろ」
「お前の後輩はお前似てそんなか弱い神経はしてねぇ」
「か弱くなくってもか細いんだよ! お前と違って繊細なんでな!」
「図太い神経しやがって、どの面下げて言いやがる」
「少なくともお前より格好よくて爽やかな笑顔」
「夜とは言わねぇ、今から殴らせろ」
「やーなこった。用が終わったら帰れ、ここ、学級委員長委員会会室。ここ、部外者立入厳禁。俺たち、学級委員長委員会所属。お前、会計委員会所属。俺たち、関係者。お前、部外者」
「うるせぇ! 俺はもう帰るが、いいか、お前、無駄遣いすんなよ!!」
「お前もなー。んじゃあお疲れー」
「その一言がなけりゃ、俺はお前を蹴倒してたわ! じゃあな」