いろは唄 | ナノ
学級委員長委員会委員長

>> く


邪魔扱いなんて酷いよね。っていうか蝿扱いって、可愛い女の子にするものじゃないわよ。

前々からうっすらと思ってたけど、都竹くんって顔はいいけど性格最悪じゃない。

三郎くんもあんな性悪男の太腿なんて借りちゃって、あんなの硬いだけなのに。

あたしの腿のほうが柔らかくて寝心地もいいはずよねぇ。


頼んでくれたら、あたしだっていつでも貸してあげられるのに。

どうしてかしら。男同士の癖に、なんであんなべったりなのよ。


「あ、ねぇ、仙蔵くん、都竹くんと三郎くんって、どういう関係なの?」

「は? 6年ろ組の九十九都竹と5年ろ組の鉢屋三郎か?」

「う、うん、その2人。ちょっと気になっちゃって、仲良しだなーって」

「あの2人はいつもそうだったな。何故そんなことを?」


さっき見たことを仙蔵くんに話した。都竹くんに邪険にされたことは言わなかったけど。

ほら、だってあの2人男同士じゃない? なのにあんなベタベタしてるなんておかしいよ。


「ふむ……、あいつらの馴れ初めについては、むしろ文次郎のほうが詳しいかもしれん」

「文次郎くんが? ちょっと意外かも」


そういうの鈍感そうなのに。

ギンギーン、情などくだらーん、みたいな感じで。


「私たちが2年だった頃から、九十九は何かと鉢屋を構っていたからな。そのころ私と九十九は単なる顔見知りでしかなかった」


都竹くんが2年生だった頃っていうと……、三郎くんが1年生だった頃よね。

そっか、そうよね。今は仲良し7人組でも、1年生の頃はもっと人数もいたはずよね。

今の1年は組から考えると、1学年に30人ちょっとってところかしら。

私の感覚では少ない気もするけど、でもそうよね。クラスが違ったら面識だってないわね。

あれ? でもその理論でいくと、都竹くんと文次郎くんも接点がないはずじゃ……?


「その点、文次郎は2年生の頃はよく一緒に呼び出されていたからな、親しかったはずだ」

「呼び出され、って……上級生に? ひどい……」

「いや、3年生にだ。あぁ、私の知る限り3日に1回は呼び出されていた」


な、なるほど……底抜けの明るい笑顔もただ楽しい過去があるからってわけじゃないのね。

敵意むき出しなのだって、きっとまだあたしを警戒してるだけ。

あたしに裏切られて傷つくのを恐れてるだけで、本心はきっと違うのね。

むー、それじゃあ都竹くんにはもう少しだけ仲良くしていてあげてもいいかな。


で、都竹くんと三郎くんが仲良しなのは昔っから。

要するに積み重ねってことね、あれだけ仲がいいのは。

でも男同士の友情なんて、男女間の恋愛に比べれば軽いものよ。

あたしが本気出して間に入れば、どっちもあたしを見るに決まってるわね。


よぉし、今度からこつこつと近づいてみよう。

目指すは完全なる逆ハーレムよっ!

(諦めたりなんかしないんだから)


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