いろは唄 | ナノ
学級委員長委員会委員長

>> 3


「じゃあ、天女サマを好きな上級生を知ってる人ー、それぞれ板書してみな。6年生以外ね」


とりあえず俺以外の6年生が全滅なのは同じ6年生の俺がよくわかってます。

5年生がいればしばらくは安心、4年生がいればちょっと面倒を見てやればいい。

3年生なら俺が参加しなきゃかな……1年生2年生だけ? あ、それは論外、活動停止。なんてね嘘だよ。


それにしても、5年生も壊滅状態、か。勘右衛門はここにいない時点でわかってたけどな……。

参ったな、うちの連中は察しがいいから、委員会別に名前を列挙してくれたみたいだが。

あぁ、おかげで、助かるけど、むなしい現実が浮き彫りになってしまった。

なぁ、三郎、確かお前は忍務なんだよな? 早く戻ってきてくれ、頼むから。


しかし参った、思っていた以上に大変なことになってる。

生物委員会は、上級生こそいないが人手はある。下手な鉄砲数撃ちゃ当たる、だ。数に勝るものはない。

保健委員会をどうする、どうすればいい? 参ったなー、専門知識のない人間を送り込んでも足手まといだ。

あぁ、3年生以下しかいない用具委員会もか。下級生ばっかりじょろじょろ連れやがって、稚児趣味かよ。

体育委員会は滝夜叉丸が大丈夫らしい。よしよし、あいつは自意識過剰であれど過信ではないし、面倒見もいい。

えっと、火薬委員会は……タカ丸が駄目で。力仕事は体育委員とでも分担してもらうとして。

会計委員会は、事務処理だし、ある程度なら学級委員長委員会でも肩代わりできるし、それで当座は凌げるだろう。

作法委員会には学園を護る罠を作ってもらおう。罠に関しては厄介なほど優秀な生徒が多いし。喜八郎とか兵太夫とか。


「先輩、図書委員会をスルーしてるのってわざとですか?」

「わざとだようっせーな、あんまりの現状に知らないふりしてたんだよ」


なんで1年生2年生しかいないんだよ、論外じゃねーか。長次、雷蔵、団子奢るから帰って来い。


「図書委員の仕事ってさ、本の修繕と貸し出しだっけ?」

「あとは新しく本が入庫した場合は、古い本を廃棄するというのも仕事ですね。きり丸が売ればいいのにって嘆いていた気がします」

「あぁ、あいつらしいよ、わかるとこで売りゃあ小遣い以上になるからな。
 仕方ない、久作に開放時間制限でも打診してくらぁ。どうせ利用者が減ってるしな。なんか他に案件あるか?」

「せんぱい、ぼくたちはどうすればいいですか?」

「極めて平常どおりの生活を。それと、委員会活動で困っている生徒がいるなら俺に報告して、そのあとは各個対応する」

「天女サマはいーんですかー」

「自主的接触は控えるように、ある程度は構わない。それと、普段通りだが会議内容は機密事項とする」


誰が敵で誰が味方かなんて、天女サマについて聞けばわかる。だが警戒するに越したことはないしな。

そのへんのさじ加減は微妙だし、相手が上級生であればなおのことだ。

幸か不幸か、5年生以上は天女サマ派だってことはわかってるんだけどなー。


「彦四郎、後で会計委員会室の鍵を借りに行くから、悪いけど安藤先生に伝えておいて。
 俺からの伝達事項は以上。他に質問ないなら、今日はこれでもう解散するぞ? ……ないな?
 よっし、多分今日がゆっくりできる最後の日だからな、しっかり休め。以上、解散!」

用具倉庫の鍵は吉野先生が持ってるから、それも借りることになるかな。

これでまぁ、下級生もある程度の不安は抑えられるだろ。会ったときに気をかけてやってと。

後は保健室に行って薬の在庫があるか確認して、なかったら煎じなきゃな。

そしたら、あぁしまった、先に図書委員会が大丈夫か確認しとかないと駄目だ。

あ、待てよ、備品の納入日確認しないと、いつ来るかわかんねぇ、何があるかもないかもわかんねぇ。

つーことは、だ……まず保健委員会だろ、次に用具委員会だろ、んでから図書委員会か。よし。


(遠からず崩壊するんじゃね?)


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