一対 | ナノ
俺がのんびりと三味線を弾いていると。
ドタドタドタドタ──
轟音とともに来島が走って来やがった。
「しっ、晋助様ァァア!!」
「あ? うるせーぞ」
「すいません! ちょっ、今部屋でテレビ見てたんスけど、晋助様にそっくりなヤツが出てたんスよ!!」
「俺にそっくりだァ?」
「ッス!」
「……」
まさかとは思うが……。
「おい来島ァ、それ撮ってるか?」
「もちろんッスよ!」
「俺にも見せろや」
「了解ッス!!」
〈新宿かぶき町から来ていただきました、宇宙生物定春くんと飼い主の坂田さんファミリーです〉
「ここッスよ! 晋助様!! ……晋助様?」
間違いねェ。何度も夢で見た彼奴だ。
「……ユウ」
「は、え……?」
「やっぱ生きてやがったのか……」
まぁ死んだなんざ、始めから思っちゃいなかったがなァ。
まさかてめェが銀時のとこにいるとはなァ。
「お手柄だせェ来島ァ、他の連中に出発を早めるよう伝えて来い」
「! 了解ッス!」
肩につくかつかねェかの癖のある藍の髪。
右は意思の強い深緑の瞳。左は黒の眼帯で隠れている。
「なァ、ユウ」
俺ァな、お前のその左目が気掛かりでならねーんだよ。
お前の左目はキレーなままか? まだ強く輝きを放ってンのか?
それとも──俺が弱かった故に負った左目の傷。
お前は負ってねーか? お前に影響してねーか?
「もうちょっと、いー子で待ってろよ? すぐに迎えに行くぜェ?」