好きで、好きで、好きで 私は0組じゃないし、勉強もそこそこで魔法もそこそこ。 因みに10組。 あれ?そうだ、普通の女の子ってヤツね! だけど、1つだけ自慢がある。 私の彼氏は、あの堅物で女の子に興味の“き”の字も無さそうな、あのクラサメ士官だってこと! 一体、私の何処に惚れてくれたんだろう? 告白は私からだったけど、ちょっと考える素振りを見せて“いいだろう”と一言。 それから、多分だけどカレカノってのになれた訳で ― 「ちくしょー!!クラサメさんで頭がいっぱいで課題が進まんっ」 此処は自室、ルームメートはデートで不在です、きっと朝まで。 べ、別に羨ましくなんか! そう思った瞬間に、COMMが鳴って尋常じゃない速さで飛び付いて通信した。 「はいっ!」 『…早いな』 「遅ければ遅いで文句いうじゃないですか!」 『文句ではない。何をしていたのか聞いただけだ』 COMMから聞こえてくるクラサメさんの声に、口元が弛む。 私達が院内で会うことはそうそう無い。 だからたまに、クラサメさんがCOMMで通信してくれるのだ。 彼は忙しい身だし、私からはCOMMは鳴らさない。 鳴らしてもいい、そう言われたけれど鳴らせない私がいる。 邪魔したら嫌だし、重荷には絶対になりたくない。 「今日はどうしたんですか?」 『…気を遣ってCOMMを鳴らさない誰かの代わりに時間を見つけて鳴らす様にしている』 ほらね、“時間を見つけて”って言った。 クラサメさんは忙しすぎるんだよ! 「私は待ってるだけで幸せですから!」 『ならば、ずっと待っていてくれるのだろうな?』 「…どういう意味ですか?」 『構ってくれないからと、その…他の男に乗り換えるとか、だな』 クラサメさんらしからず、歯切れが悪い。 そんなところも可愛いと笑みを溢していると、“笑うな”といつもより低い声で怒られた。 「私が好きなのは、クラサメさんだけだよ」 『…………』 「だから、私を好きになってくれてありがとう」 『…いや。多分、私の方が先に君に惹かれていたと思うぞ』 「え?まっさかぁ、」 冗談めかして言うと、クラサメさんの真剣な声が聞こえてきた。 『10組に、戦場において冷静であり的確な指示を出せる候補生が居ると耳にした。経験も浅いだろう候補生に、そんな逸材がいるならば見てみたい…私はそう思った』 「クラサメさん、」 『たまたま、戦場で持ち場が近かった時に君を見つけたことがあった。戦場とプライベートではギャップの差が有りすぎるな。だが、私はそんな君が嫌いじゃない。話が逸れたが、戦場において君が仲間に出した指示は完璧だった。まぁ、作戦が成功しないのはまだ経験と訓練が不十分だということだな』 一気に喋って疲れたのか、クラサメさんは黙り込んだ。 いつになく饒舌なクラサメさんに、私は驚きながらも嬉しくて胸が高鳴った。 「すごい!嬉しい!クラサメさん、私のこと…ちゃんと知っていてくれたんだねっ!」 『……、…だった』 「え?」 『―戦場での、オリの真剣な顔は鳥肌が立つほど綺麗だった』 「クラ、サメ…さん」 『―その時かも知れないな、私が…オリに惹かれたのは』 「!」 ヤバイ!どうしよう! 嬉しすぎで死ねるかも知れない。 私が、嬉死第一号になるかも。 情けないけど、これ以上ないってくらいに今の私は幸せです。 『…オリ?』 「ワガママ言ってもいいですか?」 『ん?なんだ』 「好きって、言って下さい」 『……………』 「一回も聞いたことない、から」 『…今か?』 「今じゃなきゃ、イヤです」 『…悪いが、 ― プツッ あれ?COMMの充電切れたっ! しかも、なに…最後の悪いがって!! 嬉し涙が、ただの涙に変わった瞬間に、私達を繋いでいた最後の希望さえも断たれた気がして涙が止まらなくなった。 クラサメさん、ほんとは私のこと好きじゃないとか? “悪いが”って、なに? 悪いなら言わないでよ、もう最悪な方向にしか思考が向かない。 こんなに、好きで、好きで堪らないのに ― カツン、カツンと窓に何かが当たる音がした。 ルームメートが窓から?まさかね、そんなことを考えながら窓の外を覗いた。 そこには、クラサメさんの姿が ― 此処、女子寮だぞっ! そんなことを思いながら、窓の鍵を外して開ける。 クラサメさんが、控え目に笑っているのが目元を見て解った。 どんだけ好きなんだよ、私。 「…泣くな、オリに泣かれるとどうしていいか解らなくなるたろう?」 「だって、クラサメさんが!」 「…悪いが、好きで事足りるほど安い想いじゃない…そう言おうとしたんだ」 「!」 照れながら言うクラサメさん、私を萌え殺すつもりなのね? クラサメさんはどうあっても、無意識に私を殺せてしまうと思うんだ…凄い破壊力をお持ちで。 私の沈んでた気持ちが、一気に浮上した ― 「じゃ、大好き?」 「違うな」 「なに?」 知ってて聞いた。 期待している言葉を、クラサメさんが言ってくれるって信じてるから ― 「愛している、オリ。おいで―」 クラサメさんの言葉に、嬉し涙がぶわっと込み上げては流れた。 此処が2階であることも忘れて、両腕を拡げてくれるクラサメさんの胸に飛び込んだ。 やっぱり、そのままクラサメさんと芝生に転がった。 ぐるり、上下が逆転して私がクラサメさんを見上げる。 そっと、クラサメさんのグローブ越しの指が私の涙をさらってくれた。 「オリからは、ないのか?」 そんな事を聞いてくるクラサメさんのマスクに両手を伸ばして、そっと外した。 ちゅ、と顔の火傷の後に小さくキスをおくるとクラサメさんのエメラルドの瞳が見開かれる。 「クラサメさんの、すべてが好き。愛してます―」 「オリ、」 そっとクラサメさんから重ねられた唇に、何度もとろける様なキスを貰った。 優しいそれから、伝わる愛情にこれからも私はずっとクラサメさんを好きでいられると確信した ― end. (あ、クラサメさん!そこはっ) (深夜だ、誰も見ていない) (そ、いう問題じゃ…!外だし、) (逆に燃えるだろう?) (エロサメさん、激しく自重!) (その言葉、後悔するぞ) (…いやぁあああ!) ふごぉおおおおお萌え死にました(チーン) 隊長のデレの破壊力パネェっす! 50000hitお祝いありがとうございました! ロゼちゃんのサイトの50000Hitsでは倍にして返してやるんだからっ♪ |