とっとと帰れ、うつすぞ。






「あぅー、頭痛い」


私は今日の講義を休んでしまった。
頭は痛いしフラフラするし。

とりあえず頭痛薬を飲もうと棚をあさる。


「…どこだっけ」
「これか?」
「有難う…ってなんでいるのよ」


手渡された頭痛薬。
お礼に渾身の睨みをきかせてやる。


「っ、そんなに見つめないでくれ…、オリに見つめられると体が溶けるほどドキドキするんだ」
「灰になれ。」


頭痛薬を1錠取り出して水と一緒に摂取する。


「クラサメ君はなんでここにいるのかな?」
「オリが具合悪いって言うから、インビジ使って抜け出してきた。」
「クリスタル泣くぞオイ」


ベッドに入ったらクラサメ君がもれなくついてきてしまう。


「ちょ、何してる」
「オリと一緒に寝ようかと」
「さりげなく尻触るな」


チッ、と舌打ちして退いた。
その舌打ちの顔の死神度は計り知れない。


「じゃあなんだ、どうすればいい?」
「帰れ」
「風邪はうつせば治るぞ」
「治らなくていいから帰れ」
「セックスするか?」
「ちょ、氷剣の死神自嘲しろ」
「じゃセクロス」
「同じじゃコラ」


氷剣の死神と恐れられているイケメンの口からセックスなんて言葉が出てきている。
ああ、もうすぐフィニスかなぁ。


「もぅ、クラサメ君なんか嫌いだ!」


そう言って布団をかぶる。
へへん、これで懲りるかな。


「……」

しーん。

あれ、沈黙?


と思っていったん顔を出してみると。


ちゅ。

「!!!!!??」

ほっぺにキスをされてしまった。
ボボボッと顔が赤くなる。


「じゃ、早く治せよ」

そう言ってクラサメ君は去って行った。







「な、何よ、イケメンのくせに…」


私はしばらく、クラサメ君にキスされた頬を意識せざるを得なかった。