ドSは日焼け止めを塗る。






「キャーーー!!」

「ウェミダーーー!!」


ビーチに着くと一目散に走り出したエミナとカヅサ。
子供か。
ってか、なんか某国ダウンタウン在住の空賊見習いのような言葉を聞いた気が…。


「ふー、暑いねー」

「日焼け止め塗ったか?」

「あ、忘れてた」


クラサメ君に言われなきゃそのまま紫外線を浴びるところでした。

なんの企みか知らないけど、今日の朝からクラサメ君は変態ではなくなっていた。


「ん、塗ってやる」

「は、はぁ…。」


ソ○ィーナの日焼け止めを取り出してカチャカチャと振るクラサメ君。



カチャカチャカチャカチャカチャカチャ

……振るの速い。


まずいいや。とりあえずアロハシャツを脱いだ。


「白ビキニか。まぁ萌える。」


前言撤回。やっぱり変態でした。
おそらく変態過ぎて置いていかれるのを防ぐために黙っていたのだろう。


「やっぱりクラサメ君も遊んできなよ。自分でできますから。」

「紐解いていいか?」

「この助平。」


日焼け止めを奪い取り、自分の手に垂らしてから腕とかに擦りこんでいく。
あ、ラメ入りかぁ。


「………」


塗りこむ様子をじーっと見つめているクラサメ君。
無表情って怖いな。

いろんなところに塗りたくり、最後は背中なんだけど…。


「…あれ、届かない」


うーんと腕を伸ばしてもうまく濡れない。
体が硬いせいか。


「ほら、俺が塗ってやる」

「ぎゃあああああ!!」


腰に逞しい腕がまわされ、次の瞬間には背中に冷たい感触。
ぬるぬる、ぬるぬる。


「お前の肌はすべすべだな、舐めていいか?」

「ざけんな」


首筋に顔を近づけてきたのでチョキで殴る。
ぐふ、と呻いたものの日焼け止めを塗る手は止めなかった。なにその根性。

しばらく沈黙が続き、塗り終わったのかクラサメ君の手が背中から離れる。


「よぉーし!遊ぶぞぉ!!」

「よし、イケない遊びするk「氏ね」

すべて言い終える前にクラサメ君のアソコを渾身の力で蹴った。
チーン、と音が鳴りそうだった。
蹴った瞬間にクラサメ君の顔が青ざめ、ブルブルとふるえる。


「あはは、ざまぁ!!」


ふははは、変態な貴様が悪いのだ!!

笑いながらエミナ達のもとへ行こうとした瞬間、


「きゃ!」


ぐいっと腕を引っ張られる。

どん、とクラサメ君のほうに倒れこんでしまう。
私の背中とクラサメ君の胸板がぴったりくっついて、さらにはそのまま腕で拘束された。

「は、離せ!このっ!!」
「……オリ、」
「ひっ…!」

耳に柔らかい何かが触れる。唇だろうか。掠れた低い彼の色気を含んだ声が耳へダイレクトに伝わった。

どきん、と心臓が音を立て始める。
変態じゃなければ、私はクラサメ君が大好きなのだ。

「仕置き、されたいか?」
「や、やだ、…」
「聞こえないな……」

ぺろりと私の耳をひと舐めすると、首筋に舌を這わされる。
舌先が触れたところが異様な熱さを持ち始めた。

ふわりと香るクラサメ君の香水の香り。
危険な大人の甘い香り。

「ひっ、ぁ、だめ…」
「ん?」

首の後ろで結んだ紐がするすると解かれる。


「っ、やめてください…!」

「仕方ないな、ほら」


そう懇願したら解放された。

畜生、コイツ絶対ドSだ。
バーカバーカ。
そう心の中で罵りながら私は水着の乱れを直していくのであった。