始まりは、ぱいおつ




説明は読みましたか?
読んでない人は説明を読んでからコッチを読んでね☆


















わたくし、オリ・イザナギ(17)には思いを寄せている人がおります!

その人物こそ―――




「オリ」




耳に心地よく響く声色。

藍色の髪の毛。

端正な顔立ち。




「ク、クラサメ君…」




そう、クラサメ・スサヤ(17)である。

候補生になって同じ1組に配属された時に運よく隣の席になってからは、よくクラサメ君としゃべるようになった。



ん?どんな所が好きかって?
そんなの決まってるだろ、全部だよ全部!



「ほら、カヅサとエミナが待ってるぞ」


そう言って私の手を取るクラサメ君。

手が触れ合った瞬間、「きゅん」となるのは私だけでしょうか?



繋いだ手を握りながら、友人たちの待つリフレに向かったのである。







































「っあー!おいしかったぁ!」

「ふふ、オリはキャラメルスフレ大好きだもんネ」



「クラサメ君、これから僕と熱い夜を過ごsグフッ」

「馬鹿を言え。」



リフレでお茶して、気付いたらもう19時。

お茶というより夕ご飯みたいなかんじになっちゃったけどね。




「じゃあまた明日ー」

「ばいばい」


それぞれの寮への道をたどろうとした時。





「オリ君、ちょっといいかな」

「うん?」


ちょいちょい、とカヅサに手招きされる。



「僕の部屋に来てくれるかな」

「いいよ」



なんだろ、なんか用事でもあんのかな。
とりあえずついていってみることにした。




しかし、二人でカヅサの部屋に行くところをクラサメ君に見られていたのである。

私にはこの時、そんなことを知る由はなかった。



















「おじゃましまーす」


何回か来てるけど、カヅサの部屋っていうのは甘い匂いがして個人的に好きだったりする。

何の匂いなんだろう。



「この匂いはイランイランの匂いだよ。」

「え、なんで分かったの」

「そりゃあ、すんすん匂いをかいで首傾げてれば誰でもわかるさ。」



ふうん。

意外とカヅサもお部屋とか身の回りのこと煩いのかな。
そういえば、お部屋は常に生理整頓されてるし。



「ていうことは、アロマとか焚いてんの?」

「まぁね。ほら、そこのテーブルの上のやつ。」



オシャレなガラステーブルの上には、アロマライトがちょこんと乗ってた。


――へぇ、見直した。こんな趣味あったんだ。



近づいて、香りを確かめる。

甘くて、少し危険な感じ?なのかな。
けっこうクセのある香りだけど、私は好きな匂い。



……ちがう、香りを楽しむためにカヅサの部屋に来たんじゃない。




「で、何か用事とかあるの?」

「ん、まぁそうだよ」

「何、用事って。」

「それはね…」



こういうことさ。

そう聞こえたら体を押されて倒れた。


「うわぁ!」



倒れこんだのはベッド。

私を押し倒したカヅサ本人は至って普通の顔。
変わったところといえば、カヅサが実験をするときに着用する白衣を着ているところだ。


え、ちょ、なにこの展開。



「えーと、カヅサ君、何を…?」

「ん、調査するけど。」

「は?」

「だから、エミナ君だと胸が邪魔だから君が適任かなって。」

「そうじゃなくて、何の調査?」



それはね。

カヅサはメガネのブリッジを押し上げた。
キラリとレンズが光る。



「女体の調査。」

「ぎゃああああああ!!」



あわててベッドから起き上がろうとするけど肩を抑えられて身動きが取れない。



「離せ!変態!アホ馬鹿死ね逝け!」

「おっと、そろそろかな?」

「はぁ?!」



肩を押さえたまま、カヅサはベッドサイドのデジタルクロックを見る。



部屋に入ってから、ちょうど3分くらいってとこか。






「え…」


急に体から力が抜ける。
すうっと力が文字通り抜けて行って、代わりに体が熱くなる。


なんじゃこれ。



「バカヅサ貴様!何をした!」

「ん、知らないのかい、イランイランって催淫効果があるんだよ」

「マジふざけんな1回じゃなくて3回死ねお前!!!」


がばっとカヅサが覆いかぶさってくる。

前言撤回!見損なったわコイツ!





「わー、女の子の体って柔らかいんだねぇ」



とか言いながらカヅサは私の二の腕やら腕やらを触っていく。というか揉んでいく。



「ひいいい!くすぐったいからやめてえええ!!」


カヅサの温かい手がモニモニと腕に絡む。

くすぐったいのか気持ち悪いのか分からない。


ただ一つ、カヅサ殺す。






「んー、じゃあここは?」


腕に飽きたのか、今度は手が胸へ迫ってくる。


「…や、やめ、ろ…、マジやめろ!」



鈍った運動神経をフル稼働させて悶えてみるも、所詮は男と女、力の差は歴然だった。



むにゅ、と胸の形が変えられる。



なんだろう、なんか泣けてきた。



「ひっく、ぅ…、カヅサぁ、やめてよぉ…!」

「いいねぇその泣き顔、興奮するよ…!」



涙で歪んだ視界には、恍惚とした表情の変態が映っている。



助けてよ、助けて。




「…ぐらざめぐーーーん!」



気付いたらそう声をあげていた。








その瞬間。




バン!と部屋の扉が開いた。


ツカツカと靴の音が聞こえてくる。

もしかして……。






「カヅサ…、お前ぇえ……!!!」



ものすごい形相でカヅサの胸倉をつかむクラサメ君。

来た…、王子様登場…!



「うわあああ!ごめ、ごめんなさい!ただ女体の研究を…」

「黙れバカヅサ!!」



やばい、クラサメ君、もしかして私のことが心配で来てくれたの…?

ちくしょう、さらに惚れてまうやろ……///



クラサメ君ステキ…!









ガルルルルと今にもカヅサに食ってかかりそうな王子様を見つめていたら、王子の口から大変な言葉が出てきた。














「俺だってオリの胸揉みたかったのに!!!!」

















「へ……?」

「クラサメ君…?」



これが、新たな変態覚醒の瞬間であった。