ん……、
なんか暖かい……。
でも苦しい…?

眠気を祓い、重すぎる瞼を開く。










目の前に、クラサメ君がいた。


「!!!?(ひゃあああ!?顔近い!!)」


本当に顔が近い。あと20センチあるだろうか。


そして苦しいことの原因が……



「(私…、クラサメ君に抱きしめられてる……!?)」


がっちり腕の中に閉じこめられていて、体も密着している。パジャマ越しに伝わる体温は心地よかった。

にしても、私の頭はパニック状態だった。さっきから心臓がうるさい。ついでに顔も熱い。

なんとか抜け出そうと思い少しみじろいてみたものの、離すどころかより一層強く抱きしめられた。


抜け出すのはもう無理だとあきらめ、おとなしく腕の中にいることにした。



それにしても、顔キレイだな……。

長い睫、整った鼻筋、色っぽい唇。肌なんかは私よりキレイなんじゃないかなぁ。

じーっと見つめていたら、クラサメ君の目がぱちりと開いた。




「お、おはよ、クラサメ君…」
「…あぁ。」


いたって冷静にクラサメ君は答えた。




何秒かした後、またしてもクラサメ君は頬を赤く染めた。



「〜〜っ!すまない…!」


クラサメ君はあわてて飛び起きて、ベッドから降りた。そんなクラサメ君を見ていたら、私まで恥ずかしくなり、また心臓がうるさくなった。











クローゼットの中から適当に服を選んで着る。朝食は冷蔵庫に入っていたもので簡単に作った。




「どう?おいしい?」
「ああ。お前、料理できたのか?」
「失礼ね、私だって一応女の子よ!」


ふつうに会話をしながら食事をする。こうしていれば、なんとなく平和な感じがしてきた。








「ねぇ、今日は何をするの?」


とりあえず、今日の日程を決める。上官に、街を調査監査とか言われたけど具体的に「こんな感じで調査」とは言われなかった。



「そうだな、俺は市場とかを見に行きたいと思うんだが……」
「分かった。」



朝食を食べ終え、片づける。赤い印がついているほうへ蛇口をひねればお湯が出てきたもんだから、驚いた。











それぞれ身なりを整え、もしものために武器を召喚できるようにもした。


「忘れ物ないか?」
「クラサメ君こそ、何か忘れてない?」


お互いにチェックをし、部屋から出た。鍵をかけ、街の中を歩き始める。






不意に、


「オリ」

名前を呼ばれたら、またしても腕を組まされた。



「く、クラサメ君……」
「か、仮にも、今俺たちは夫婦なんだ。それっぽくしてないとおかしいだろう…。」



お互いの距離がぐっと詰まり、肩と肩が触れ合う。そんな距離にドキドキしてしまった。


「…あとさ、そ、その……!」


またしてもクラサメ君は噛み噛み。ほんのり赤くなった顔を見上げたら、こう言われた。



「俺のこと……、そ、その、『あなた』って呼べよ……?」





恥ずかしくて、逃げたくなった。











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