「あ、はいはいはい、うん、元気元気ー!」

ソファーにドカッと座ってCOMMで通信しているオリ。
相手はエミナらしい。

「えぇー!やだなにそれー、カヅサご愁傷様じゃん」

どんな会話だ。
とか思いながら俺は食器を洗っていた。

「…うん、分かった。クラサメ君に代わるね」

と言った瞬間に俺のCOMMに通信が繋がれた。
相手は…カヅサか。

『やぁんクラサメ君久しぶりー!1週間ぶりじゃないかなぁ』

やぁんって何だ、やぁんって。
いつにもなくハイテンションなカヅサに着いていけない。

「お前は相変わらずだな」
『まぁね、それよりどうなんだい?お嫁さん。』
「……別に」
『その様子だとかなり仲良くなったんじゃないかい、ねぇ?』

意味深に聞いてくる。カヅサは人の心理にかなり鋭いということを忘れていた。

『どこまでいったんだい、手はつないだ?チューした?セッ―――』
「そ、そそそ、そこまでしてない!」
『…じゃあキスはしたんだ?』
「な……」
『ひゅ〜!でもこれ以上いろいろ言うと、クラサメ君が帰ってきた時に百叩きじゃ済まなそうだからやめておくよ』

当たり前だ。

『ところで今回の通信はさ、のほほんと会話する目的じゃないんだよね』
「任務か?」
『ご名答。じゃあ軍令部に繋ぐからね。クリスタルの加護ありありでがんばってね』

なんだそれ、「ありあり」ってなんだ。

「ん、クラサメ君どしたの」
「任務、だそうだ」
「おおっ!なんか血が騒ぐなぁ」

そう言ってオリはウキウキした様子で武器を出したり収めたりし始めた。

―――白虎に来て早1ヶ月。
定期的に筋トレなどを積み、ワールドマップに出て魔法も使ったりしたので戦力は鈍ってはいないはず。
…はず。

『こちら軍令部だが、さっそく任務についての連絡だ』
















『―――ということだ。いけそうか?』
「無論です」
『さすが"氷剣の死神"と"疾風の紅蓮"だ。二人を選んだ甲斐がある。クリスタルの加護あれ!』



氷剣の死神クラサメ・スサヤと疾風の紅蓮オリ・イザナギ。
私自身、二つ名である疾風の紅蓮はそんなに意識してない。
ちょっと素早くて炎の魔力がちょっと高いくらいだと思っているんだけども、周りからは結構もてはやされたりする。
―――ちょっぴり嬉しいんだけどね。

でも氷剣の死神には叶わなかった。
うん。無理。
彼の芯の強さは、私にはないのだ。

「で、なんて言ってたの?」
「白虎の富裕層の一部が招待される晩餐会に出席し、要人から機密情報を捻りだしたのち始末。だそうだ」
「おっけ。分かった」

晩餐会、晩餐会。
あれだ、どこかの国のお姫様がガラスの靴を落とす話で聞いたことがある。

そんなおとぎ話のように、平和な時はやってくるのでしょうか。







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