HoneyPlay





「クラサメさん!見てこれ!」



と言って私が差し出したのは、ビンいっぱいのハチミツ。
ビンの中に満たされたハチミツは透明感があって甘そうだ。

彼曰く甘いものは『ほんの少しだけ好き』らしく、少しハチミツに興味を示してくれた。


「どこで買ったんだ?」


「買ったんじゃなくて、貰ったんですよぉ。ミィコウ行ったらこのテの職に就いている従兄にバッタリ会っちゃって。んで、折角だからあげるって言われたのでもらいました。」


実は彼の作るハチミツはどこの町のハチミツより甘く、上品な味わいで気に入っていたのだ。



「私一人で食べるのもアレなんで、一緒に食べませんか?」

「…、っああ。」



何か考え事をしていたようで、ちょっと目を見開いてから承諾の言葉をくれた。




「じゃぁ何に付けて食べます?やっぱり定番のケーキに付けますか?それかハチミツレモンなんてどうでしょう?」



「……」



彼は少し考えると、真面目な顔をしてこう答えた。













「オリが食べたい。」


















「…へ?」



今なんつった?

オリを食べたいと?私を食べたいと?




いやいや、隊長の事だ。きっと私が知らないだけでそんな名前の食べ物があるのかもしれない。




「…そ、それってどんな食べ物なんですか?できれば詳しく―――」

「今、私の目の前にある」




じ、と見つめられてドキッとする。

嘘だろ嘘。なんでそんな恥ずかしいこと言えるんだよおおおおおおお

まっすぐ私を見る常磐色に吸いこまれるようで、なにも言えずただ私は体温の上昇を感じた。




「きゃ!」


ふわりと抱きあげられるとベッドにおろされた。

几帳面な彼を表すかのような、まっ白いシーツにしわのないベッド。



ギシッとベッドが軋み、クラサメが私に覆いかぶさる。




「…オリが食べたい」

「え、ちょ、マジすかそれ、ぇ、タンマ、ちょ……っ」





ちゅ、と甘く口づけられた。

触れるだけのフレンチキス。



いつもは行為に走るときは結構乱暴なキスをもらうのだが、やさしいキスをもらったので「あ、食べるってこういうことなのか。」と勝手に思った。

なんだよ、キスがしたいならそう言えば良かったのに。


てっきりクラサメはキスがしたかっただけと勘違いしたのが仇となった。




私はまた起き上がる。


クラサメは私からいったん離れ、ハチミツの入ったビンを持ってきた。






え?




「え、何にかけるんですか?」




私の問いを軽く無視したクラサメ。

ちょっとムカつく。



ビンのふたを外し、指ですくって食べてみているクラサメ。

指をくわえる姿はいつもの冷静沈着冷血漢な彼から想像できないくらい可愛かった。




またクラサメはビンの中のハチミツをすくい、


「…ほら、口開けろ」



おおお、なんか今日は隊長優しいぞ

とか思いながら口を開けてみた。




指が口の中へ入ったのを確認し、指をくわえる。


ん、甘い。




口の中に広がる甘さをもう少し堪能していたかったのだが。





「…ン…!? えー、なんでクラサメさん…!」



指を引き抜かれ、今度はまたキスをもらった。





「ん…ッ、…ぅ…」



さっきの優しいキスから打って変っていつものキス。

舌を差し込まれ、口の中から彼に犯される。


舌を器用に絡められて息を奪い、快楽へ突き落す。それが彼のキス。


愛ゆえに。




そのまま首、鎖骨と舌を這わされ、あっという間に私は鼻に掛った声を漏らしていた。



服は乱され奪われ、気づけば何も身に着けていない。

羞恥心から顔がボボボっと熱くなる。




とにかく全身触れられる。

とくに胸なんかはイジられまくる。



私は胸がそんなに大きくないのだけれども、彼は「気にしない」と言っていた。どうでもいいけど。



彼から与えられる快感というのは、快感というより"エクスタシー"という表し方のほうが近い。

「ぁ、ん…隊長…っ」


彼の藍色の柔らかい猫っ毛がサラサラ肌に触ってくすぐったい。



愛撫を続けていた彼が、不意に顔を上げる。



何をするかと思えば、取り出したのはさっきのハチミツ。

「ん、隊長…何を…っ」

「…今からお前を食べるんだ。」


ビンのフタをあけ、まるでローションを受け取るかのようにハチミツを手に注いでいる。


そのまま私の胸へ、手の中のハチミツを垂らす。



「ゃぁ…冷た…っ」



ヒンヤリしてトロトロした液体が胸を滑る。

ハチミツの甘い香りが鼻をくすぐった。


また彼は覆いかぶさり、胸へと舌を這わす。



ハチミツを舐めとるかのように、丹念に舐めまわす。


「あ…っ、隊長…、っん…」

「…オリの胸、甘いな…。」


クラサメは胸の先端も口に含み、私に快楽を与えるのと同時にハチミツをほおばる。



「ゃ、そこは…ぁ、っ…」






まだ一度も触られていなかった秘部にいきなり冷たい感触。


またクラサメがハチミツを付けたのだ。



そのまま指で私の弱いところを何度も何度も擦ってくる。

弱いところに触れられる度、ビクビクと体がはねた。


ハチミツのものか、それとも私の蜜なのか分からない、もしくは混ざり合った液体が、いつにもましてグチュグチュと卑猥な音を立てている。




そのまま、くぷっと音がして彼の細くて長い指が入ってくる。

ただそれだけで私はビクビクと体を震わすのだ。



「やぁ!…あ、っ、ん…!」

「オリ…、可愛いな…」


指を2本に増やされ、さらに中を掻き混ぜられる。
私の体を知り尽くしているクラサメは、私の弱いところだけを擦るようにして指を動かす。


「…なぁ、そろそろいいか?」


クラサメの貴重なおねだり。
これまた濃い色気を発しながら囁くものだから意地が悪い。



半ば達しそうだったのを抑えてコクリとうなずくと、カチャカチャとベルトをはずす音が聞こえた。ぐ、と熱いものを押しつけられ、同時に顔がいっそう紅くなる。

彼の端麗な顔が近づいてきて、目を瞑ると薄い唇が押しつけられた。体温を分かち合うように口付けが深くなる。


私がキスに気を取られる間に腰を一気にすすめられた。

それもいきなり奥を突かれるものだから、



「ん、…ンンンンッ!!」




中を熱く大きいものでえぐられた私は挿れられただけで達した。


唇を重ねたまま、私は喘いだ。






「…ン…っ…!」

いきなりの強い締め付けに驚いたのか、彼も口づけたまま少しだけ喘いだ。



唇をいったん離し、律動を始める彼。





冷え性だという彼もこういうときはめいっぱい汗をかく。



広い背中に腕をまわし、熱を分け合い、愛をいっぱい感じて。
感じて、愛されて。




汗ばんだ体を抱き締めあい、私はクラサメを体全体で感じるのだった。


















―――ミィコウの町



「よ!あのハチミツ食ってみたか?」

「うん!美味しかったよー」

「じゃぁもう一つ持ってくか?」


いや、貰いたいところだけど、また全身にハチミツをつけられるのはちょっと…。



「んー、また今度…ね!」


「そうか、じゃーな!」









END






,.,.,.,.,.,.,.




クラサメさんはあの顔して果てしなく甘党だったら良い。

そして辛いものが苦手だったら良い。