拒みたいなら逃げればいい。 *同期設定 正午の事だ。 エントランスを歩いていたらオリを見かけた。 いいんだ。そこまではいいんだ。 なぜ隣にカヅサがいる。しかもやけに肩と肩が近い。 気になってクリスタリウムまで追いかけたところ、二人して研究室に入って行った。 薄暗くて狭い空間に男女が…なんて考えたくもない。 さすがに空気を読まずに研究室に入っていくのは気がひけたので入らなかったが。 変に鼓動が速くなっている。 焦り。焦燥。 多分嫉妬。絶対そうだ。 私はオリのことを好いている…らしい。 最近感じる変な感情の事をエミナに訴えたら、「それは恋だ」と言われた。 過去に何度か女性を好いたことがあるが、こんなにも鼓動が速くなり、焦りを感じるのは初めてだ。 なんだ、こう、ドス黒い何かと、歯を食いしばりたくなるような焦燥感。 焦燥感に、研究室の前をウロウロしていたが、耐えられなくなり、入ってみようと決心した。 ―――どうせ、適当に眠らせて薬打ってるだけだろう。 助けに来たと言えば丸く収まる。ついでに二人を確認できる。 そう思って研究室の扉を、何故か音をたてないように開けた。 コッソリ中へ進む。 二人を確認したとき、私は固まった。 「―――クラサメ?」 なんとまぁ、診察台のような椅子に寝かせられたオリの服が微妙に肌蹴け、さらにカヅサとオリの顔の距離が近い。 今にもキスしそうなくらい。 「……」 「どうしたの、そんな神妙な顔しちゃって…。」 「クラサメ君、どうしたの? あ、別にオリ君に変なことは"まだ"してないよ?」 「まだ」の部分を強調して言うカヅサ。 そういったカヅサは、ごく自然な流れでオリにキスをした。 「……、ちょっと!何すんのよ……!」 プツン、と血管の切れる音がした。 ツカツカと寝台に駆け寄り、オリの腕を引っ張る。 「え!?ちょ、クラサメ…!?」 あわてるオリを無視して、乱暴に立たせるとそのまま腕を引っ張って研究室を出る。 「ちょっと、クラサメくーん!まだ実験の途中なのに…!」 * ああ、気に食わない。イライラする。 焦燥感と、ドス黒い何かが胸に渦巻く。 研究室を出た後、そのままオリを引っ張りながら、クリスタリウムの奥深くを目指す。 誰も来ないような、奥深くまで。 灯りもそこそこにしか届かないくらい奥まで来て、引っ張ってきたオリをレンガ造りの壁に押し付ける。 ああ、腕が止まらない。 自分の眉間に皺が寄っていることに、私は気付かなかった。 「…クラサメ!?どうしたの、何かあったの…!?」 まっすぐ私を見る瞳。 お前は、その瞳に誰を映していたいんだろう。 気づけば、押さえつけたときに手で拘束していたオリの手首に力が入っている。 「…、い、た…!やめてよ、痛い…!」 多分相当痛いんだろうな。 私を睨む瞳にはうっすら涙が浮かんでいる。 いい。もっと涙をこぼして、私の前で泣いて泣いて啼けばいい。 そう思った。 そう思ったから、マスクを取った。 * 抵抗するオリを抑えつけながら強引にキスをする。 ああ、好きで好きで仕方なかった唇を手に入れた。 そう思った。まるでサディスティックな変態だ。 「っん、…ふ…ぅ、」 唇を割って舌を差し込んで、逃げる舌を強引に絡めて。 舌を捕まえて、吸って、とにかく口の中を犯した。 上でひねり上げてある腕から、少しばかり抵抗する力が抜けてきている。 ああ、なんて楽しい。 何度も何度も、角度を変えては唇を貪る。 その間にオリのベルトを抜いて、手首を拘束する。 これで抵抗できまい。 唇を離すと、涙にぬれた瞳で私を睨みつけてきた。 その表情。なんて美しい。 オリのシャツのボタンを外し、素肌に触れる。 首筋に指先を這わせば、少しばかり体が跳ねた。 「やめ、てよ…、誰か来たら…!」 「ここに来ると思うか?」 今いるところは、クリスタリウムの最深部。 人が滅多にくる場所ではない。 首筋に吸いつき、紅い花を咲かせた。 これで、誰も取って食ったりしないだろう。 黒い下着を上にずらせば溢れてくる胸。 10年の付き合いだが、初めて拝んだオリの胸。 「やだ…!やめて、クラサメ…!」 言葉を無視して、胸に吸いつく。 先端を甘噛みすれば、面白いくらいオリの体は跳ねた。 「ぁ、ん…!やぁ、…っ」 忘れずに反対の胸も、手で愛撫する。 少し大きめの胸を包めば、にゅっと形が変わった。 絶え間なく吐息を漏らしている口にもう一度食らいついた。 その間も、胸を手で弄り続ける。 オリの陰部に脚をぐりぐり押しつけると、体がもぞもぞ動く。 ―――面白い。 もっといじめてやりたいところだが、私もそろそろ限界だった。 唇を離し、オリを壁に向けさせる。 スカートの中に手を忍び込ませ、下着をずりおろした。 「…、!」 カチャカチャとベルトを外し、昂った雄を、オリのソコに押し付ける。 下肢への愛撫はしていなかったが、そこそこに濡れていた。 「やだ、やだやだ!やめて、クラサメ…!」 ひっくひっく言いながら、泣きながら訴えるオリ。 嫌だ、私はお前が欲しいんだ。 私はオリの耳元に口を近づけ、囁いた。 「……お断りだ」 そのまま腰を掴み、一気に中に入れる。 「…っああぁあ…!ぃ、た…ッ…!」 オリが苦痛の声を漏らす。 それはそうだろう。下肢をあまり濡らしてないんだから。 ああ、やっと一つになれた。否、一つにした。 結合した部分は熱く、私を締めつける。 短く息を吐き、腰をゆすり始めた。 「っあ、ん、ぁ、あぁ、やだ、やだぁ…!」 喘ぎながらも私を拒絶するオリ。 何故拒絶する。 私はこんなにお前を好いているのに。 10年の付き合いなのに。 みょうにイライラしたため、私は乱暴に中を擦った。 「あ、っ!だめ、っぁあ、やめ、てよぉ……!」 「…っ、…」 さっきはあまり潤っていなかった内部が、今ではすっかりぐちゃぐちゃに濡れていた。 中を擦る度、卑猥な水音が耳を擽る。 ああ、気持ちがいい。 いっそ、溶けてしまいたい。 さっきよりももっと、乱暴に突き上げる。 一番奥を目指して。 「っあああ!ぁ、ぁ、やだぁ、っん…!」 「…、そろそろ出すぞ」 「やだ、中ダメ…!赤ちゃん、でき、ちゃぅ…っん、ぁ…!」 そんなこと聴いてられない。 なぜなら、お前はただ、喘いでくれればいいのだから。 「っあ、――――ッ!!!」 ずん、と一番奥を突いた瞬間、彼女の膣がぎゅうううと締まる。 それに伴って、私も射精した。 一番奥に、叶うなら子宮に届くように。 達した後も荒く息を吐き、泣くオリの涙を舌先で絡め取った。 ああ、これでオリに"私"が刻まれただろうか。 でも、オリを傷つけてしまっただろうな。 ―――すまない。イッた後の快楽の中で、密かにオリに謝罪した。 END |