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『好きです』







そう彼に告げた時、ちょっと泣きそうになったのを覚えている。



絶対無理、ヤバい、言わなきゃよかった、逃げたい、とか。



たくさんの一時的後悔。




でも彼からの答えは意外で、「いいだろう」の、一言。


たった一言だけど、私には嬉しすぎた。


このときは。










最近、彼からOKをもらって2カ月。


なにも進展はなく、何か特別扱いされることもなく、ただのなにも変わらなかった。


普通に、0組で授業をし、作戦をこなし、その繰り返し。




こうともなると、とても不安になる。





ねぇ、どうしてOKしたの?

ねぇ、なぜこんなに悲しいの?












前の席のエイトは休み時間になると、いつものごとく鍛錬をする。

本人曰く、「日々努力」だそうだ。


そんなふうに懸命に鍛錬を積むエイトをじっと見つめていたら、バッチリ目が合ってしまった。



「オリ、どうかしたのか?」

「え、いや、なにもないよ…!」



ひそかに、「エイトはクラサメ隊長とちがって優しいんだろうなぁ」とか思っていただなんて言えるはずがない。

でも、最近少し私のテンションが下がり気味なのは気づいていたみたいで。



「…オリ、お前なにか辛いことでもあったのか?」

「え…な、べべ、べつにそんなこと…あははは、ははっ」



じーっと無表情のまま見つめられると、なんだかすべてを白状しないといけないような気がして、隠してはいられなかった。


「…すいません、ウソです。辛いです。」

そしたらエイトは私のところに来て、私の話に耳を傾けてくれた。



実はクラサメ隊長が好きで、微妙な交際をしていたこと。

2ヶ月たっても進展がないこと。

なにもしてもらえず、少しというよりかなり辛いこと。



ぐちぐち話している時も、エイトは真剣に聞いてくれた。




「……正直そんな関係だったっていうのは少し驚いた。」

「でも、全然進展ないんだよ…。好きだけど、今よりだったら片思いしたままのほうがよかったきがしてくるの…。」




そこまで話すと、午後の講義の準備を知らせる鐘が鳴った。



「…あ、行かなきゃ、だね。」

「オリ、放課後にまた裏庭に来てくれるか?」

「うん、いいよ。」











そして放課後。





「エイト!…ごめんね、私の話聞いてもらうばっかりで。」

「いや、いいんだ。」







普通に裏庭に来て、普通に話をする。そんな構想を浮かべていたわたしにとんでもない言葉がぶつかった。



「なぁオリ、言いにくいんだけどさ…。」

「なに?」




「…クラサメじゃなくて、俺じゃダメか…?」

「…え?」


つまり、それはどういう…。




「……俺、お前の事好きなんだ。クラサメみたいな無愛想なヤツより、俺はお前の事大切にできると思う。」

「……エイト…」




まっすぐな目線に何も言えなくなり、私まで黙ってしまう。



エイトは優しいし、すごく気遣いしてくれる。



でも私が好きなのは、クラサメ隊長なんだよ。

そう言いたかったけど、言葉はエイトの瞳に飲み込まれるかのように消えてなくなった。




「オリ…っ」


「!」



ぎゅぅっと抱き締められる。エイトはナインとかに比べると小さいけど、私を包み込むのにはちょうど良かった。



温かい。
でもクラサメ隊長じゃない。
だけど彼は優しい。


さまざまな思いが渦巻く。




「…エイト、少し痛いよ…。」

「……悪い。」




「エイト、…私、やっぱりクラサメ隊長が好きなの。だから…」

「わかってる。…じゃぁ」


そう言って彼は少ない言葉で去って行った。




「…あれ、」

ぽたり、ぽたり。

なにかが頬を伝う。




「…ぅ…、クラサメたいちょ…っ」

「…オリ」




心地よく胸に響く声に振り返ると、そこにはクラサメ本人がいた。


情に流され、言いたかったことをつい言ってしまった。



「たい…ちょ…っ、なんでなにもしてくれないの…っ?」

「オリ…?」



「隊長のバカバカ!こっちがどんだけ隊長のこと好きか知らないくせに!どうしていかにも興味ないですただ付き合ってます上辺だけですみたいな振る舞いしかしないの!?だったら…はじめっ…から、…つ…っぱなして…ほし、かった、のに…!」


途中で2カ月ため込んでたものが一気に溢れだして、言葉がとぎれとぎれになった。




「オリ……っ」


「隊長のバカ!もうキライ!近づかな――――」




瞬間、ぐっと体が引き寄せられて、隊長の顔が目の前にあった。

唇には柔らかい感触。鼻をくすぐる甘い匂い。



私、キスされてる…。



「…言っておくがな、私が候補生から告白されて了解をだしたのはお前が初めてだ。」


「…え?」





クラサメはふいと顔をそっぽに向けた。


「…私だってオリの事をいちばん大切に思っている。…本当だ。」

顔をほんのり紅くしながら彼はつづけた。


「その、今まで近づけなかったのは、なんというか…その、あまりアレだと、お前から嫌われるとか、変に仲を深めて傷つけたりしないかとか…」



言い訳を述べているが、私にはそれはどうでもよかった。



「…う…っ、たい…ちょ…っ、!」




もう泣くな――そう言われて、頭も撫でてもらった。










「…隊長っ!ど、どこに行くんですかぁっ!!?」



私はお姫様だっこされて、ずんずん廊下を進むクラサメに不安を覚えていた。



「着いたぞ」

ガコっと変な音がしたのは、クラサメがドアをけったからである。



「…ここって…」

つれてこられたのはクラサメの自室である。



そのままずんずん奥へ進み、投げ落とされる。

「ちょ、ま、隊長…?」

投げ落とされたのはベッドの上。


プツンという音がして思考回路が遮断された。

え…?という文だけが頭にぐるぐるうずまいている。






入ってきたほうからガチャンガチンと、2回音が聞こえた。

多分ガチャンは扉が閉まる音で、2回目は鍵を…


ますますぐるぐるになる。



そしてクラサメが戻ってきて、ガチャガチャと上着を脱ぎ始めた。



やっと理解ができた。

「えーと、隊長、いったい何を…?」



マスクと上着を脱いだクラサメは、私に覆いかぶさる。

ぐーっと顔が至近距離に近づけられ、息が詰まる。



「…こういうことだ」

「…え、隊長、それは早…」


そこまで言ったところで腿の内側をするりと撫でられる。



「ひゃっ!?」

「こういうことだ」



「隊長、落ち着きましょう。」

「私は至って冷静だ。ただ、お前の「もっと何かしてほしい」という願いと私の欲望に忠実に従っているだけの事。」



「欲望って…」

「まあいい。お前は私のものだ。私がどれだけお前の事を愛しているか、たっぷりとその体に叩き込んでやる。」



そこまでいうと隊長は早速私の衣服を脱がせはじめた。












「…や、ぁ、隊長…!…もっ、ゆるして…!」

「はっ…、まだだ…、」

「イヤーーーーーーーーーー」







END



,.,.,.,.,.,.,.,.,.,.,..,.,




(昨日0組の女子がクラサメ指揮官にだっこされてたらしいよ!)
(ええーー!ショック!!)






長くなってしまったついでに裏じゃなくて微裏になってしまった!!!申し訳ありません。ですが私のスカタン頭にはこれで限界です。勘弁っ!!!(でも気が向けば続きのアッー!な夢も書くかもしれないです。)


リクありがとうございました!これからもよろしくお願いします!