砂時計




「本当に…行くんですか…っ」




「…あぁ。」







彼は強い。たとえ過去にどんなに傷ついたとしても。






彼はルシ・セツナの秘匿大軍神召喚で、魔力を捧げるのだという。彼のファントマも一緒に。


そう、大規模な"生贄隊"の一部として。






彼からこの話を聞いた時は、泣いて「行かないで」とせがんだ。だが、彼は首を縦には振らなかった。




「戦果をあげろって、そういうことなの…?」



「…あぁ。」





もう彼は「あぁ」としか言わない。



――――軍人なら、だれでも死ぬ覚悟はできている。









「…そろそろ行く。」



彼は踵を返し、本陣から出て行こうとした。






待って――――。




声がつまり、のどはカラカラ、頭はよく回らない。




送り出す一言が言えない。











彼は不意に足をとめた。






そして私に、こう告げた。






「…お前を…、オリを愛せて幸せだった」











そんなこと言うくらいなら。


なぜあなたは自らの生に幕を下ろそうとするのですか。







まだ砂時計の砂は落ち切っていないのに、なぜあなたは砂時計のガラスをこわそうとするのですか。






私は涙で送ることしかできなかった。







,.,.,.,.,..,.,.,.,.,.,.,,.,.





クラサメで切甘でした。

すいません、切甘じゃないですね…;

ただの死ネタになってます。





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