1 − クリスタリウム まぁ大した用事ではなかったのだが、私はクリスタリウムで調べ物をしようとしていた。 目的の本棚はどれかと探していたところ、 「…きゃ!」 どん、と本棚の陰から出てきた生徒と衝突してしまった。 私には大した衝撃は来なかったがぶつかってしまった生徒にはダメージだったようで、倒れてしまった。 「すまない、大丈夫−−−… …!!!」 魔導院の女子候補生のスカートはけしからん短さだ。時には中身が見えてしまう。 それは慣れているので問題無いのだが、今、私が動揺しているのは中身の問題である。 そう、彼女は穿いていなかったのである。 慌ててめくれたスカートを戻してやったが、あることに気が付いた。 「(濡れている……!?)」 もちろん性的な意味である。 うら若い女子候補生のこんなところを見て、果たして自分は許されるのだろうか。 にしても変だ。 起きあがらない。 身体をもぞもぞ動かしているだけで一向に起きあがろうとしない。 そのとき、顔を隠していた腕がずれて顔が露わになった。 「…、オリ…!?」 あろうことか自分の担当のクラスの候補生だった。 「…ぁ、……っ、」 「…!!」 まずいぞこれは。 これは明らかに喘ぎ声だ。 心臓がバクバクと音を鳴らし始めた。 「おいオリ、どうしたんだ…!」 「…目が覚めたら…、っぁ、ここにいて、…ん、」 平常心、平常心。 心で唱えている時点で動揺しまくりなのだが。 「なんか、…おなか、ぁ、…中で動いて…っ」 「わかった、立てるか?」 若干フラつきながらも立ったオリはなんとか歩けそうだった。 |