心星しんぼし、一つだけぽつんと浮かぶ星、空を見上げたら道しるべになる星。ヒトの心の中にも心星はあるのかな。もし私の心の中に心星があるのなら、どうか導いてください。暗い暗い深海の中にいる私を、どうか助けてください。温かくて安心できる明日へと導いてください。手を伸ばしても一寸先は黒く塗りつぶされていて、私はそれでも手を伸ばす。心星しんぼし、私をどうか照らしてください。





はっと目が覚めると、周りにはいつものようにオレンジ色の空が広がっていた。周りには人の気配はなく、私はほっと息をつく。
今、一体何時なんだろう。いやそもそも今日は何月何日なのかも、分からない。朝も昼も夜もなくなってしまったこのオレンジ色の世界はもう、動いていない。

ボロボロの毛布をたたみ、私はうーんと一伸びする。カサカサの手を一撫でし、立ち上がった。
今日も何もない一日のはじまり。ゴホゴホ、咳をして私は辺りを見回す。当然ヒトの姿はない。



ヒトやドウブツやショクブツがたくさん死に、破壊された建物が砂場の砂の山のようにあふれかえる地球。
終末を迎えてしまったこの世界に、もう希望はない。

私はこうして、他の人たちよりも少しだけ生きてはいるけれど、もう長くはないと思う。
毎日瓦礫に囲まれて起きて動いて寝てを繰り返す、意味のない日々。だけど、それでいいのだ。もう、…私は…。





幼いころに一度だけ見た星。
本で見た星は空一面に散らばっていた。だけど、私が見た星は暗闇の中に一つしか浮かんでいなかった。だけど、私にはそれがとても大きくあたたかいものに見えた。

…今日も、終わりへ向かう一日のはじまり。




20132005



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テーマ「人外ファンタジー」
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