映画館に着くなり、和成は私の顔を見て、お前も女なんだなと、真顔で言った。どう言う意味だと怒り口調で聞いてみれば、映画のチョイスがなーとチケット(和成の奢り)をヒラヒラとさせた。

「恋愛ものは好きだからね」
「前まではそんなもん見なかったくせによく言うぜ」
「和成が好きじゃないかなーって遠慮してたのっ」
自分の言葉に少し照れながら、先程買ったばかりのコーラのシュワシュワという不規則性の音を聞きながら、ストローに口をつけ一口飲んだ。マジか、と言いたそうな顔で彼はキャラメルが沢山ついたポップコーンを口に入れた。

「っていうのは嘘」
「驚かせんなよ」
彩花昼奢れよー、と言う言葉に対して私は嫌だよ! と即答してやった。まぁでもどうせ、和成のことだからそう言う事はさせないんだろうなと密かに思っていた。
彼は、まだ入ったことのない未知なる映画館の部屋を眼を使って見つけ出し、席も迷わず直ぐに見つかった。驚きの速さであった。
はたと気づくと、周りにはカップルらしき組みがチラホラとあちらこちらに座っていた。
なぜ今の今まで気付かなかったのだろう、と余裕のない自分が恥ずかしかった。

「あ、この映画今度見よーぜ」
私はボーとしていていい反応が出来なかったが、その一言で少し落ち着きを取り戻せたように思えた。
気付けば、コーラが無くなりそうになっていて少しトイレが心配になってきた。

「コーラ無くなりそう」
「俺の飲む?」
「トイレがヤバくなりそう」
「それもそうだな」
じゃ、ポップコーン食っとけと言う声が聞こえたその後、お楽しみの映画が始まった。
私は、ポップコーンを口に入れた。


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