彼氏と彼女はよく似ている。例えば、雰囲気とか性格とか趣味とかだ。だからなのか、私と彼はカレカノだと思われにくい。
彼が皆に良く私の事を話すのだが、友達は本気にしてくれないそうだ。
それもそうだ。私と彼は全くと言っていいほど、雰囲気とか性格とか趣味が違うのだ。バスケなんて体育でするくらいで、あんまり知らないし、点数なんて入れた事すらない。

それに、皆をまとめることなんてできなかった。
指示もできない。学級委員だが、自分では『置物学級委員』だと思っている。


「よ、彩花!」
今日、委員会? と付け足しながら私の頭をグシャグシャとなでた。私はそれを直しながら、おはよう、と言った。そしたら、彼は嬉しそうに笑ってくれた。
ちょっと嬉しかった。

「朝会だからね、和成君は朝練習?」
おう、真ちゃん今日はラッキーアイテムがどーとかで今探し中なんだよなーとケラケラ笑っていた。
二言目には真ちゃん、真ちゃんで、少し緑間君に妬いてしまう事もしばしばある。でも、それだけ仲が良いんだよな、と自分自身に言い聞かせている自分も居た。

「そっか、頑張って」
「ありがと」
そう言って、彼はじゃあなー、と言いながら私の前を走る。颯爽と。
あぁ、青春だ、なんて思いながら私も足を速めた。


彼が隣からいなくなれば、私はモブの存在だ。モブDくらいの人物である。
そこまで重要でもないが、私が居ないと事が進まないという事もない。私の変わりはいくらだって居ると思っている。
いや、皆思っているのかもしれないけど。

まぁ、こんなことを他の人に話したら中二だとかきちがいだとか思われそうなので、私は他言をしない。変な目で見られたらそこで私はモブとしての存在を落とされるのだ。つまり、私は、モブと言う主人公みたいに責任が重くないこの位置が好きなのだ。



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