結果より君の成長が気になる。 「おい、彩花!」 私がちょうど中学2生の時、彼は確か小学6年生であった。 彼は私より身長が低い。そして、声もまだ高かった。
「あ、飛雄君。どうしたの?」 「優勝した」 ぶっきらぼうに言う彼。 私に賞状とメダルを見せつける。
「あ、おめでとう」 私が、そう言うと、おう、照れて言った。 彼は今所属しているバレー部の中で、ずば抜けて上手いと聞いた。 きっと、中学校、高校ってなったらもっと上手くなるんだろうなとか思いながら 私は手を、飛雄君の頭の上に置く。
「頭なでるのやめろ」 パッと私の手をはらいのけて、ムスッとしていた。 あ、またやってしまった、と私は冷や汗をかいた。
「ご、ゴメンね。つい……」 「まぁ、良いよ。俺が大きくなったら、絶対頭なでるから!」 「はいはい」 私はそう言って、適当に流す。
「嘘だと思ってるだろ」 「思ってないよー」 「絶対やってやるからな!」 「はいはい」 今日からめっちゃ牛乳飲んでやる、と隣で飛雄君がつぶやいていた。 私はそれがおかしくて、笑いそうになった。が、こらえる。
「んじゃ、俺練習あるから」 「うん、頑張れー」 「おう!」 そんな可愛い顔がみれるのも後何年だろうか。 そんな事を考えながら宿題を始めた。
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