単純な彼彼女




「もう、火神くん!
 帰国子女じゃないの?」

「んなの言ったって、日本の英語は細かすぎんだよ!
 こー、伝わればいいんだよ!」

「開き直らないの!」
私、彩花と同じクラスの火神君は今勉強をしてります。
なんでかって? 
先生に頼まれたからですよ! はい。


「……ダぁ――!
 もう、わっかんね」

「そんなこと言わずに……あ、そうだ!
 ねぇ、火神君。この問題、全部解けたら奢ってあげるよ。
 あ、でも、高いのは駄目だからね?」
うん、我ながら上出来だ。
人のやる気を上げるには、まず、物で釣る!! これしかないだろう。



「? 良いよ、別に。
 俺金には困ってねーし」
火神君は興味無さそうに言った。


「し、失敗だと……?
 えぇー、これしか思いつかないよ。
 ねぇ、どうしたらやる気が出るわけ?」
私は悩みに悩んだ末に言った言葉だった。


「……別に、宮本がここに居てくれさえすれば頑張るし。
 物で釣らなくても、一言言ってくれれば頑張るぜ? 俺」

「え?」

「っ……。
 ほ、ほら、勉強やるぞ」
火神君の頬を見た私は、今までよりもさらに頬が赤くなった。


『英語……?』


(が、頑張って……火神君)

(おう)


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