一緒に居ても伝わらぬ想いもある。

彼は天狗と言う奴になっている。
何ていうか、産まれながらの才能という物が彼にはあって、幼いころから野球がうまくて今でも注目されている。(そんな彼の隣にずっと居るから分かる事だけど。)
そんな状況だったら人間だれでも天狗になるはずだ。
しかも、顔も良いとくる。だから、告白はよくあるし自慢されるのもしばしばあった。その度に私は、頷く。
正直言って面倒だ。

「彩花は告白されたことある―?」
「…うるさい」
「ふーん、無いんだ。へー、ふーん」
嬉しそうに彼は言う。イライラする。
何だその顔。優越感にひたっているのもいまのうちだぞ、と私は思いながらコーヒー牛乳を飲み干す。
あ、怒っちゃった? と嬉しそうに言われたので敗北感を感じた。

「じゃあ、付き合ったことは無いんだ」
「まぁ、そうなりますけど」
「おいらも実はない!」
嘘だー、と私は口をはさむ。何か言いかけていたが、どうせムカつく言葉なのだろうと直感した。これは長年付き合っているからこそのものである。

「だからさ…あー、言いたい事分かるだろ!?」
「いや、分からないけど」
ずっと一緒に居るのに!? 席を勢いよく立って私に向かって言った。なんで、そんなにむきになるのか分からなかったが、取りあえず座ってくれ。
周りの視線が凄いから。

「はぁ、もういいや! 彩花のバカ!」
「はぁ? 鳴よりはココの出来は良いですけど?」
そう言って、自分の頭を指す。そしたら、うっせぇ! と大きな声で言われた。そんな酷いことをしただろうか。私は一応謝ったが、彼は無言のままだった。

「アイスおごるから許して?」
「…おいらがおごる」
その一言に私はなぜか寒気を感じた。

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