何分かして、亮介が戻ってきた。
その後ろには哲も居る。
「すまない、彩花、心配させてしまって」
亮介が何か言ったのであろう。
私は「良かった、元気になって。私のせいかと思ってたから……」と言いかけると、
「半分……いや、ほぼ彩花で悩んでいた」と言われてしまった。
「え、だってさっき後輩で悩んでるって……」
「悩みの種の本人に言ったら悪いだろう」
そりゃそうですね。すぐ同意してしまった。
「お邪魔虫は退散するぞー」
純が言うと、おー!と全員が言う。
うわ、純変な事言わないでくれよー!!
「……悪いと思ってるんだな」
「う、うん。そりゃ……思ってるよ?」
「だったらお詫びとして付き合え」
哲は恥ずかしげなく言う。
こんな事を言える程、哲はそんなに恋に興味は無い。
ということは。
「亮介に言われたでしょう?」
「どうしたら良いかと聞いてな」
「それで、そう言われた……と」
私がそう言うと、哲は黙ってうなずく。
やっぱり。亮介も哲に変な事教えないでよ。
「で、付き合ってくれるのか?」
「え、あー、あ! 哲!
監督が呼んでるよ?」
「監督は今、校長室に居るそうだが?」
「あ、礼ちゃんが……」
「御幸と話している」
「太田部長が」
「川上と話している」
哲はそう言うと、勝ち誇った顔をしていた。
うっ、逃げれない。
「で、どうなんだ?」
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