「彩花さん、ベタですけど頑張って下さい」
部活も終了し、自主練も終わりになってきた頃御幸に言われた言葉であった。
御幸の言葉に私はボッと顔を紅く染めてしまった。
「大丈夫ですって。
フラれた時には俺のとこに来て下さいよ」
「フラグをたてないでよ。
……まぁでも、ありがと、御幸君。」
私は御幸に言った。
やっぱりこの人は、緊張のほぐし方を知っている。
この2週間。
少女漫画で勉強した事を、すべてやり遂げた。
その為、薄々だが純に気づかれてしまったような感じだった。
でも、純は何も言わずに接した。
今だから思えるが、純には感謝している。
「じゃあ、行ってきます」
その時の私は、御幸曰く、とってもきれいだったという。
まぁ、お世辞だとは思うが……ね?
*
ベタに屋上で告白しようと思ったが、
彼は野球漬けな人なので、そんなこともできなかった。
だから、帰ろうと自分から誘った。
いつもは彼からだけど、その日だけは私からであった。
「……彩花さん?」
校門で彼の着替えを待っていた。
「あ、哲也君。
帰ろっか」
私は言った。
そして、深い息をはいた。
2/6
←→