「やっぱりやってるんだ……」
彩花は呟いた。
歩いた先には、あの練習をした場所である。
「……哲!」
彩花は呼ぶ。
結城は彩花の方を向いた……いや、その場に居た全員が向いた。
「お久しぶりだね。
いや、さっきも会ったか……ちょっと皆と話したくてね」
彩花は笑った。
「あ、居た!!
彩花先輩、勝手にどっかに行かないでくださいよ!!」
後ろから1年生トリオが来た。
「私、ココのOBなんですけど……」
彩花は言った。
「……クリス、状態はどうなの?」
「はい、まぁ、良くなってきました」
「そっか、なら良かった」
彩花は言うと、前髪を触った。
「ちょ、彩花先輩!!
俺のピッチング見るって約束でしたよね!!」
「僕のもお願いします……」
野球ボールを持った少年二人が、彩花に言う。
「ちょ、今涙の再会だったのに……」
「ほら、行きますよ!!
すいやせん! 先輩方、先輩を借ります!!」
「すみません」
小湊弟は、言うと三人の後ろをついていった。
「哲、何も言わなくて良いのかよ」
伊佐敷は結城に言う。
「何がだ?」
「あぁ……なんでもねぇ」
伊佐敷はそういうと、素振りを始めた。
結城は何事も無かったように素振りをし始めた。
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