「んぬぬ……」
携帯小説が買えるという事を御幸から聞いたので、
私は哲といつも通り帰った後、本屋に立ち寄った。

で、家である。


「何これ」
私は思わず言ってしまった。
だってさ、もう両想いだってわかってんだよ!?
なのに告白しないって……じれったい


もし自分だったら告白……しないかもしれない。


「人の事言えないなぁ」
パタンと本を閉じて、隣の姉の部屋へと向かった。



*



「あ、読みましたか。
 で、感想は?」

「……良く分からない」

「ですよねー!」
御幸に話しながら、姉から借りた漫画をパラッとめくる。
本当、いつ見ても可愛いなぁ……この女の子。


「まぁ、分かってもらおうとも思ってませんでしたが」

「そんな事思ってたのか」
私は言った。


「んじゃ、少女マンガ読んでウォーミングアップしたところで、
 作戦会議始めますか」

「え、良いの?
 野球だってあるんだし。
 ほら、御幸捕手だからいろいろあるんじゃないの?
 そっちを優先にした方が」


「何言ってるんスか。
 やるって決めたらやるんですよ」


「いや、嬉しいんだけどさ。
 やっぱりやめておこうよ、哲也君だって野球に集中したいだろうし」
私はその時、色んな考えがばっと頭の中でさいた。
その一つ一つを御幸に言った。


「……彩花さん、それも良いですけど
 一生後悔するのはあなたですよ。
 まぁ、考えは一理ありますけどね」

「……でも」

「じれったいですよ、彩花さん。
 言いたいなら言う。後悔したくないなら言う。
 フラれたら俺がなぐさめてあげますから」

「御幸君カッコいいなぁ」

「ハッハッハ。
 今に始まったことじゃないでしょう」
御幸はそう言って励ましてくれた。


「……じゃあ、宜しくね。
 御幸君」

「はい」
御幸はそう言った。


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