「て、哲也君! 帰ろ?」
「はい。帰りましょうか」
こんな帰りも日課と化してきた。
まぁ、好きな人と帰れるのは嬉しいんですけど……。
話せないで帰るのがまた辛いんです。
「……最近元気ないですね」
哲が横でボソリと言った一言であった。
私はピンッと背筋が伸びた。
「え、そんな事ないよ!?
私だって真面目な時ぐらいあるよ!」
私は笑いながら言った。
「そうですか」
哲はそうやって心配してくれる。
だから、恋におちた私はもっと恋におちた。
酸素が足りない海に何時間もいるみたいに、
胸が苦しくなる。
あなたの言葉が、私の胸を締め付ける。
「……あ、じゃあ私こっちだから」
私はそうやって言って、その場から逃げた。
逃げないと、息ができなさすぎて死んじゃいそうだから。
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