「え、元気ないかな」

「ハハッ、俺すぐ分かりましたよ。
 どうしたんスか?」
お昼休み。
私は一年生の部屋で食べていた。
御幸君と私以外は飲み物を買いに行ってしまった。
勿論、哲もだ。


「……言って良いのかな」

「問題ないですよ。
 あ、もしかして……恋のお話しとかッスか?」

「!」

「ハハッ、図星って奴ですか。
 で、誰なんですか? あ、もしかして……俺?」

「バカなこと言わないで」

「ですよねー」
御幸は笑いながら言った。


「……本当に秘密だよ?
 御幸君だけに言うよ」

「ハハハ、了解ッス」

「……ゆ、て、哲也君」

「……マジっすか」

「マジです」

「ハハッ……ハハハッ……。
 難関っすよ?」

「分かっております」

「ヤバくないっすか。
 だって、あの人ッスよ? 気づくかどうか。
 天然ッスから……」
御幸は苦笑いをしながら言った。


「分かりきってることを言わないでくれ……。
 はぁ、どーしよ」

「まぁ、取りあえず……頑張って下さい」
「アドバイスは!?」

「無理っすよ! 哲さんは結構……はい」
その日、初めて私は御幸に対して舌打ちをした。
そして、御幸は初めて彩花が怖いと思ったのであった。



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