AM 6:08
「ヨッシャ」
私は朝起きて、携帯を見てガッツポーズをした。
携帯のディスプレイを見てみると、
『OK!』の文字があったのだ。
これで、暁の試合がみれる。
「お母さん! おはよ!」
私がそう言いながら、リビングに入ると、
そこには、母の姿は無かった。
「……? え、お母さん?」
私は恐る恐る家じゅうを探す。
でも、居なかった。
「……ん。彩花、はよ」
「あ、暁。
どうしよう、お母さんが居なくなっちゃったよ……」
私は、知らず知らずのうちに涙を流しながら言った。
「……彩花、大丈夫。
母さんは、父さんの家に行ってるんだって」
「……え?」
「引っ越すんだよ。
中学校からは遠くなっちゃうけど……」
「でも、暁って学校が遠いから
ここに来たんじゃないの?」
「え? そうなの?
僕は、彩花と顔を知っておいた方が良いって言われたから来たんだけど」
「え? そうだったの?」
「うん」
暁はそういうと、テーブルに置いてある朝食を食べ始めた。
その朝食の隣には、母の書いたであろう手紙がある。
そこには、こう書かれていた。
おはよう、突然ゴメンね。
今日からそこの家は、私たちの家じゃなくなっちゃったの。
だから、今日は暁君の家に帰ってね。
詳しいことは、暁君に。
母。
「……暁、これ」
「うん、だから今日、
野球部の練習見に来るんだよね?」
「うん、まぁ」
「だったら、最後まで見ててよ」
「うん、分かった」
私はそういうと、暁の前で朝食を摂りはじめた。
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