PM 4:27


その時は、夕日が真っ赤で町が夕日色に染まっていた。私は静かに本を読んで、母は料理の支度をしていた。その時、突然電話が鳴った。見知らぬ番号に母は首をかしげながら受話器を取った。
私はそこまでを見て、本に目を移した。次の瞬間、ガタンと音が聞こえた。反射的に音のする方向を見た。

「……お母さん何泣いてるの?」
そこには、電話の受話器を持ったまま座り込んだ泣いている母親の姿があった。察すれば良い物を、その時の幼い私はそんな器用な事が出来なかった。
目からは大粒の涙の母。


その時の私はよく分からなかった。

だから、まぁ、母親の涙だけは拭ってやろうと
ティッシュで母親の涙を拭いてやった。


「ありがとう」


「どういたしまして」
私はニッと笑いながらいった。


母親はちょっとだけ元気が出たのか、立ち上がった。
そして、出かける準備を始めた。


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