事は少し外れるが、俺のヒッティングマーチに、狙い撃ち、というフレーズがある。
この曲は俺がまだこの青道高校に馴染めていない時、先輩が勝手に決めた曲であった。
後々哲さんに意味を聞いてみると、モテるから、という一言であった。
純さん曰く、皮肉を込めたらしい。でも、亮さんから聞いた話はどれにも当てはまっていなかった。
今でも信じられないが、亮さんを信じないわけにはいかなかった。


「ヒッティングマーチの意味?」
自主練を終えて、俺は亮さんに話しかけた。いつもなら倉持と居るのに今日は珍しく居なかった。

「哲と純に聞いたんじゃないの?」
「まぁ、聞いたんですけど……」
「納得いかない?」
ニコニコ笑顔で俺からしたら低身長の先輩。笑顔なのに怖い人なんてこの人だけだと思う。

「あぁ、で、ヒッティングマーチの話だっけ?  なに? 気に食わないの?」
「え、あ、いや、そんなんじゃないっすけど……」
けど? と問いかけられる。俺が質問しているのにと思ったが、考えるだけ無駄だった。
まぁ、同級生なら知ってるかもね、と亮さんはもったいぶるように言う。
この人、俺が同級生と仲が良くないのを知ってるくせに、この人、俺で楽しんでいるんだな。現に笑ってるし。

「御幸のヒッティングマーチって、狙い撃ちだっけ?」
「あ、はい」

ヒッティングマーチの理由はそれはそれは俺の人生にとって
とても重要なものとなったのは今はまだ知らない。



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