試合の内容は、良かった。申し分ないと言えば嘘にはなるが、それよりも、まずはこっちである。

「なんでズボンにしなかったんだよ」
そう、この一言である。この一言を言うために、練習試合が終わった後も、練習をするために彩花を待たせていたのだ。(手伝わせていた。)

「え? 沢村君には可愛いって言われたんだけどなぁ」
「沢村に言われただぁ!? あいつらと話したのかよ」
俺は、一人焦りながら言った。彼女はなにも戸惑うことなく、うん、と嬉しそうに言った。なんだかそれが、ムカついた。

「一也怒ってる?」
「別に、怒ってねぇよ」
嘘だ、と年上の彼女は頬を膨らましながら言った。本当だって、と笑って誤魔化すがそうはいかないようで、彼女に背中を殴られた。そこまで痛くもなく、どうってことのない物だったが、ちょっと心が痛んだ。

「ハッハッハ、彩花もベタなことをしてくれるな」
「古くてすみませんねッ」
「んや、楽しくて俺はいいぜ」
お褒めの言葉どうもー。と、可愛げの無い言葉に笑いを隠しながらいつも通りの道を歩いた。先程までの気持ちが嘘のように無くなっていて、どうでも良くなって、俺はとことん気持ちのない奴だなと自分を笑った。
きっとそれは、みんな思っている事。


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