「あー、怖」
彩花先生が居なくなって、俺は思わず口に出してしまった。先ほど、俺が喋りながら打っていた時のことだ。
遠くの方から凄く鋭い視線を感じたのだ。それはそれは冷たく、鋭いもので、俺は見ざるを得なかった。そこには、何があったと思う? 御幸だよ。スッゲェおっかない顔して、俺を睨み付けていた。どんだけ好きなんだよ。

「あ、くーらーもーちーくんっ」
「げ、御幸……大丈夫だっつーの。俺はお前が心配してるようなことはしねぇから」
そう言っても御幸は俺をまだ疑っているらしく、メガネから鋭い目が見える。仲間だぞー、俺達、と言えばあぁ、そうだったなと言われた。それとこれとは違うらしい。

「お前、先生の事になると本気になるよなー」
「あと野球な」
んな事分かってるわ! と俺も大声で言ってしまった。おっとっと、喧嘩になるところだったぜ。

「あぁ!! 御幸一也っ!」
「ん? おぉ、お前らキャッチボールするぞー」
「おぉ!! 御幸一也が素直だと!? 先ほどのイライラはどうされたんすか!?」
「沢村、シーな?」
あぁ、こいつ、本当に重症なんだなと俺は一人御幸の行動の解釈をした。沢村も後ろにいる降谷もご苦労だったな。



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