「で、これは皆が言ってたんだけどさ」
その言葉を耳にしたとき、俺は、あぁ、先輩は良い人たちだ、と涙腺が崩壊しそうになった。
ありがとうございます、俺は呟いていた。何? 泣いてるの? やめてよ、と言われた。俺は全力でそれを否定をした。

俺はこの先、ずっと野球しかやらない野球バカな野郎だと思っていた。
それは先輩も同じならしい。
でも、もしも、俺に一生一緒に居たい人が出来た時、
その人にちゃんとアタックが出来るようにという願いが込められているそうだ。なんか、照れる。

「ありがとうございました」
「いいよ、礼なんて。御幸に言われるとなんか変な感じがするし」
「ハッハッハ、それって褒めてるんすか?」
褒めてるよ、と亮さんは言った。それと同時か、その前からか、倉持の亮さーん、という声が聞えて来た。
練習付き合って欲しそうッスね、と俺が言えば、練習熱心な後輩だよ、と立ち上がって倉持の元へと歩いて行った。
あぁ、あれが青道の鉄壁二遊間と呼ばれる秘訣なのかもしれないな。

そういえば、と俺も考えてみる。
倉持は、TRAIN-TRAIN、あれは足が速ぇからだし。
亮さんは、キューティーハニー、まぁ見た目からもだし中身もだな。
純さんは、ヤマト、あれは掛け声にあわせてだろ。
哲さんは、ゆわずもがなだしな……。

こうして考えてみっと、野球の事しか分からないな。
一緒に戦っている先輩や同級生の日常なんてよく分からないし。
もっと俺も馴染めるようになんねぇえとなぁ。

キャッチャーとしてもそうだけど、チームメイトとしても
知っておかないといけないな。



こうして、俺は、一歩、青道高校野球部へ入り込んでいった。







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