『くぅー……ねむ…』


低血圧に朝練はキツイとボヤキながらノロノロ歩く由依

昨晩仁王と遅くまで電話で話していたせいで今朝は6:45に起床
完全なる寝坊で朝食を食べ損ねた

朝食を食べても半分寝てる由依
しかし朝食を食べていない今、由依は四分の三は寝ている状態だった

それでも朝の涼しい空気で段々と目が覚めてきたらしい
昨日のうちに鞄の中に突っ込んでおいたコンビニのおにぎりを食べはじめた

(間食のもんが無くなった……)


「ち、遅刻ーーー!!!!!!」


そのとき隣を駆け抜けた人影

かなりうねった黒髪に、自分よりほんの少しだけ高い身長
声も聞き覚えがあるし、彼が着ている制服も立海のものだった
テニスバックを持っているから知り合いのはずなのだが……

立ち止まって走り去っていく人影を見ていた由依は首を傾げた


『……赤也じゃ、ない…?』

「あ、由依センパーイ!!!」

『あ、赤也。はよ』

「おはよーございます!!」


由依の後方から勢いよく駆けてきた人物は由依のすぐ傍まで駆けてきて元気良く挨拶をする

ニカッと笑った赤也につられて由依もふわりと笑った


「一緒に行きましょ!!」

『おん。一緒に遅刻だ』

「うげ……」

『弦一郎からは庇ったげるき』

「!!!ありがとうございます由依先輩!!もう大好きッス!!」

『ありがとさん。私も赤也のこと好いとうよー』


機嫌良く歩く赤也の隣をゆったりと歩く

自分の可愛くて大切な後輩の切原赤也はただの黒髪のうねうねじゃない。オシャレなうねうねだ
うねうねがコンプレックスのようで、いつも嫌だと愚痴を聞いていたから赤也の誕生日プレゼントと称してストパーを掛けさせた。勿論私の奢りで
完全にうねりは取れなかったけど、少し落ち着いたから良かったらしく、 もうワカメなんて言われねぇ って機嫌良く言っていた

そこら辺からだろうか、赤也は私にやけに懐くようになったのは

あと、銀色――つまり私の色――のメッシュも入ってる
とりあえずこの話はまた今度


だからさっきの赤也モドキは私の後輩の赤也じゃない
でも、多分あれは赤也で………。あれ?赤也だけど赤也じゃなくて…?ん?

うーん…あれは誰だ……?







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