「タイムスリップ……ですか」
『恐らくは、そうかと……信じますか?』
一通り話し終えて一息つく
千景様ととても似ているが、まったく似ていない風間家当主
じっと見つめてくる彼の視線は苦手だと
何となく思った
「信じざるを得ませんね」
『え?』
「貴女からは私達と同じような雰囲気を感じますし、風間家には歴代の当主とその妻の肖像画。そして家系図が残されています。家系図の中には確かに千景という名と由依という名がありますし、貴女にそっくりの肖像画も見たことがあります……ここまで来ると、嘘でもなさそうですしね」
『風間家の家系図に私の名が…?』
それって、私と千景様は無事に祝言を挙げて、子供もできたってこと…?
うわっ。……嬉しい
その事実に感動していると、当主は突然頭を下げた
「由依様、突然この時代へ跳び、さぞ大変な思いをされたのでしょう。これからは我々風間家が全力で貴女を援助致します。我々をどうぞ好きなようにお使いください」
『頭を上げてください。私はそのようなことを言ってもらえるような者ではありません。畏まる必要はありませんよ。ですが、援助は受けさせていただきますね』
「いえ、それはできません。貴女は我々の先祖に当たる方です。貴女がいなければ私達も存在することは無かった……これがどうして畏まらずにいられましょう」
『………』
「これは譲りません。貴女も私達に畏まらないでください。家来の様に思って下さって構いません」
『…分かった。いいから顔を上げなさい』
顔を上げた彼の目からは、先程の嫌な感じはもう感じられなかった
どうやら私は彼に上位の者と認識されたらしいが…
うーん……そんな偉くもないんだけどな
「私の名前をまだ言っていませんでしたね。私は 風間千里(センリ) と申します。千里とお呼び下さい。それと、息子の一人を由依様の側近にさせていただきますね」
『いや、必要無い』
「いいえ。必ず付けさせていただきます。あぁ…本当は私がお護りしたいのですが、なにぶん当主としての仕事もありますので……」
……千里は思っていたより頑固なようだ