『雪村由依と申します。この度は、大変ご迷惑をおかけしました』
三つ指ついて、頭を下げる
あー……こんなことするのはいつぶりだろう
家が焼けてからは…やってないよね。そんなことする場に立たなかったから……
目の前には風間家現当主
彼もまた、千景様に似ている
先程の少年の父親らしい…遺伝、恐るべし
「いや、迷惑など…気にすることはありません」
……似てるのは顔だけ、と
あぁ……
千景様の傍若無人さが恋しゅうございます
千鶴の純粋さも
薫の隠れた黒さも
不知火の不器用な優しさも
天霧のお母さんなところも
全部全部恋しくて仕方がありません
「それで……ご用件は?」
『あぁ。長くなるのですが……』
「構いませんよ」
『それでは……』
一旦姿勢を正して息を吐く
目を閉じて、気を落ち着けて
目を開いたら、雪村家の当主であるように
『私は――――……』