縢秀星と食べることが好きな女の子


大丈夫。

そう彼女の口が動く。
怖い怖いと縋る度に、彼女は俺の頭を抱き締めてくれた。それから一緒に横になって、魔法の言葉を囁くのだ。


「大丈夫。私がずうっと傍に居るもの。縢くんの怖いものなんて、全部私が食べちゃうわ?」


そうだよな。だって食べるの大好きだもんな。
俺の作った料理が世界で一番美味しいと宣うその口は、熟れたイチゴみたいな色をしている。それで、ぱくり。嫌なことも美味しいものも笑顔で咀嚼して平らげる。そして、ご馳走さま。


「明日は非番だったよね?私、縢くんの作ったご飯食べたいな。美味しいもの食べれば幸せになれるもの」


お休み秀星。私のたった1つのお星さま。怖いものなんて、私と居れば消えちゃうのよ。

彼女がそう言うのなら、そうなのだろう。
俺はゆるゆると眠りに誘われ瞼を下ろす。

きっと明日は晴れるのだ。怖いものなんて無い世界で、彼女と世界で一番美味しいご飯を食べるんだ。


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