及川と男主
「別れたんだって?」
「うん」
「なんで。両思いだったんだろ」
二人の間を風が通り抜けた。夕陽に照らされた教室のなか、髪の毛が風に靡く。黒髪の男がジュースのパックから口を離して、窓際の男に問いかけた。窓際の男は、ふ、と笑って何も答えなかった。
「及川、答えろ」
窓際の男――及川――は、外に向けていた視線を男に向けた。その表情はどこか寂しそうな、泣きそうな顔だ。
「……何やってんだよ」
「うん、ごめん」
黒髪の男が及川に近付く。及川と少し距離をとり、窓から外を見た。泣いている女の子と、それを慰める女の子の友人が見える。
「ごめんね」
再び謝った及川。男は涙を拭って及川に笑いかけた。
「うるせぇよ、馬鹿野郎」
女の子が好きだった主人公と及川。主人公は女の子が及川を好きだと知って身を引く。及川もそれは知っている。二人は付き合うことになったが、思うゆえの衝突から関係が悪化。好きなのに別れる及川と、寄を戻させようとする主人公。でも結局上手くいかなくて、誰も報われない話。上手くいく恋愛ばっかじゃないよねって、そんな話 。主人公と及川の友情は壊れないけどね。
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