亜門上等と一等捜査官


 友人が死んだ。私と同じ二等捜査官だった。
 アカデミーからずっと一緒で、切磋琢磨して、どっちが早く特等になれるかなんて勝負していた。

 そして、たぶん好いていたのだと思う。



*** ***



 彼を殺した喰種が死んだらしい。亜門上等捜査官が処分したと聞いた。

 あれから1年。私は一等捜査官になっていた。
 彼のことも思い出に出来た。上司である平子上等捜査官を目標に必死に生きている。
 亜門上等捜査官のことも話によく聞いていた。たまにお会いすることもあった。真っ直ぐな人だと思った。


「あ」

「亜門上等…お久しぶりです。あの、ありがとうございます。私怨ですが、先日亜門上等が討ち取った喰種、私の友人の仇だったので」

「いや…。俺にとっても敵討ちだった。それでも君の気が晴れたなら、良かった」


 少しだけ、彼が笑う。
 あの喰種を私が殺せたらと思ったこともあったが、身の程を知れと彼に再三言われていた私では手出しなんて出来なかった。だから、彼のことを少しでも知っている亜門さんが終わらせてくれたことは、良かったと思う。


「君は、」

「はい?」


 亜門上等が小さく呟く。
 首を傾げて少しだけ夜と、亜門上等は私の目を見据えて言った。


「君は、俺に敵討ちをさせないでくれよ」


 それに私は頷いた。


「勿論です。貴方を残して逝くなんて、出来ませんよ」


 亜門上等は真っ直ぐな人だ。そして綺麗な人。臆病な人。
 私より年上だけど、頼りがいもあるけれど、支えてあげなきゃと思う。

 ゆるしてね。1年しか経っていないけど。ほら、女の心は秋の空って言うじゃない?好きな人ができたんだ。
 だから好きな人に会いたいから。私は頑張って生き抜くよ。


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