欠陥ヒロイン狂騒曲 | ナノ


03



マネージャー業務から追い出されました麗です。山田さんはご丁寧に退部届けなるものまで渡してきました。いい迷惑です。破り捨てました。とりあえず、仕事やらずにお勉強します。仕事しにいったら、スッゴい目で睨まれたのです。あれは怖かった。ともかく、精くんには山田さんから言ってくれるそうなので、勉強頑張りたいです。


「―――で、こうなる」

「あ、なるほど」

「全く、英語だけかと思ったら…」

「バリバリ文系なんで」


途中で脱線しつつ勉強していると、廊下が騒がしくなり始めた。午後の練習は終わったらしい。
あらかじめ作っておいた麦茶をコップに注ぎ、いくつか並べる。1番最初に飛び込んで来たのは二年生だった。


「お疲れさま。お茶どうぞ」

「あざっす」

「使い終わったコップは流しに置いといてねー」

「そういえば、なんで先輩サボったんですか?去年は勉強がヤバくても仕事してたのに」

「え?」


麦茶を飲む二年の一人が不意に口を開いた。内容は私からしたら突飛なものだったけど、周りの二年も「確かに」と言いながらこっちを見ている。

それでも確かに、私は山田さんが「精市には私から伝えるわ」って言ってるのを聞いた。
なんで?どうして?そんなの山田さんが嘘を言ったに決まってる。彼らに限って、しかもマネージャーの休みの連絡を、誤って伝えるはずがない。


「山田さんが仕事しなくて良いって言ってくれたんだよ?山田さんが連絡してくれるって言ってたんだけど…」

「なんにも言ってなかったですよ」

「部長達も心配してましたよ?」

「…そっか。教えてくれてありがとね。私からちゃんと言っておくよ」


そろそろお風呂入りな、と言えば入ってきたときと同じようにバタバタ出ていった。今日はまだ元気みたいだ。明日からはゾンビが大量発生することだろう。

いや、そんなことより。


「私、なんか山田さんに嫌われるようなことしたのかな…?」

「さぁ。本人に聞くしかないだろ。言い忘れかもしれない」

「んー…。連絡のことはそりゃ聞くけどさ、嫌いかどうかは流石に聞けないよ」


悩みつつ皆が使ったコップを洗っていると、氷皇が隣に立った。洗い終わったコップを次々と拭いていっている。


「まぁ、何かあったら言えよ。部外者だからこそ出来ることもあるだろ」

「ん」

「あいつらもポッと出の奴よりお前を信じるさ。とりあえず今日中にでも幸村に言っておけ」


頭を撫でる氷皇の手は小さい子を慰めるみたいで、私はそれを跳ね退けた。くつくつ笑う氷皇は、何とも思わなかったようだけど。



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